誰も住まなくなった実家の古い戸建て。実家じまいを何から始めるか考える様子をイメージ

親が亡くなったり施設に入ったりして、 誰も住まなくなった実家をどうするか——。 お盆に帰省して「そろそろ決めないと」と感じた人も多い時期です。

テレビや雑誌でも、放置した実家に長年の維持費がかかった体験談が話題になり、 「実家じまい」への関心が高まっています。 とはいえ、いざ始めようとすると「何から手をつければいいのか分からない」という声がほとんどです。

この記事は、実家じまいを ①今なぜ増えているか → ②自分は対象か → ③何から始めるか(手順)→ ④費用と落とし穴という意思決定の順にまとめたハブ記事です。 個別の詳しい解説は、それぞれの関連記事へリンクしていきます。

① 実家じまいとは?なぜ今相談が増えているのか

このセクションの要点は「実家じまいは"家の片付け"ではなく、相続・税・売却まで含めた意思決定だ」ということです。

実家じまいとは、誰も住まなくなった実家を、片付け・処分・売却や活用まで含めて整理することを指します。 単なる遺品整理や解体だけでなく、「相続の名義をどうするか」「売るのか貸すのか持ち続けるのか」まで含めた、 一連の意思決定と考えると全体像がつかみやすくなります。

相談が増えている背景には、空き家そのものの増加があります。 総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は約900万戸と過去最多、 空き家率も13.8%と過去最高になりました (出典:総務省統計局 令和5年住宅・土地統計調査 調査の結果・2026年8月時点)。 その多くが「相続したまま持て余された実家」です。

つまり実家じまいは、特別な人の話ではなく、 これから多くの家庭が順番に直面するテーマだということです。 空き家問題の全体像は 空き家問題は投資チャンス?社会的意義と収益を両立する考え方 でも解説しています。

② 自分は対象か:放置し続けると起きること

このセクションの要点は「決めずに放置するほど、費用も税金も増えていく」ということです。

「まだ元気だから」「思い出があるから」と判断を先送りにする気持ちは自然なものです。 ただ、空き家は持っているだけで毎年コストがかかり、 放置が長引くほど不利になりやすいのが実情です。まずは自分が直面している状況を整理しましょう。

放置で起きること 具体的な中身
毎年の維持費固定資産税・都市計画税・火災保険・管理の手間や交通費がかかり続ける
税の優遇が外れるリスク管理が行き届かないと「管理不全空家」に指定され、住宅用地の特例が外れて固定資産税が上がる
売りにくくなる傷み・残置物・名義未整理が重なるほど、買い手も価格も付きにくくなる

とくに見落としがちなのが2つ目です。空家等対策の特別措置法(令和5年改正)では、 管理が不十分な空き家が「管理不全空家」に指定され勧告を受けると、 住宅用地の特例(税を軽くする仕組み)が外れて固定資産税が上がることがあります (出典:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報|国土交通省・2026年8月時点)。 仕組みの詳細は 空き家を持ち続けると税金が上がる?6倍化と空き家税の総まとめ にまとめています。

「実際いくらかかるのか」を数字で知りたい人は、 実家の維持費は年間いくら?持ち続けて損する人・貸す人 から読むと、放置と決断のコスト差がはっきりします。

残置物が残る実家の室内。片付けから始める実家じまいの様子をイメージ

③ 実家じまいは何から始める?費用と手順の5ステップ

このセクションの要点は「片付けより先に、名義と方針を決めるのが失敗しない順番」ということです。

実家じまいでつまずく人の多くは、いきなり片付け・解体から始めてしまいます。 じつは順番が逆で、先に「誰の名義か」「売るのか貸すのか」を決めないと、 片付けや工事にかけたお金がムダになりかねません。基本の流れは次の5ステップです。

実家じまいの基本ステップ

1
名義を
確認する
2
方針を
決める
3
片付け・
残置物
売却・活用
で出口へ

ステップ1:名義(相続登記)を確認する

まず確認するのは「実家が誰の名義になっているか」です。 親名義のまま、あるいは祖父名義のまま止まっていると、売却も活用もできません。 相続登記はすでに義務化されており、名義の整理は実家じまいの出発点です。 相続放棄を検討している場合でも管理義務が残る点に注意が必要で、詳しくは 空き家の相続放棄は危険?残る管理義務と手放す前の選択肢 を参照してください。

ステップ2:売る・貸す・持つの方針を決める

名義が整ったら、売却・賃貸・保有のどれを目指すかを先に決めます。 「相続したがどうすればいいか分からない」段階の人は 実家の空き家を相続したら?放置のリスクと3つの選択肢、 「売りに出したが売れない」人は 相続した実家が売れないどうする?負動産化を防ぐ出口5つ が判断の助けになります。方針が先、片付けは後が鉄則です。

ステップ3:片付け・残置物の処分

方針が決まったら、家財や残置物の片付けに入ります。 売却なら「どこまで片付けて引き渡すか」で費用が変わり、 現状のまま引き渡せるケースもあります。 売る前提の片付けと、貸す前提の片付けでは、かけるべきお金の水準が違う点を意識しましょう。

ステップ4・5:売却・活用で出口を作る

最後に、売る・貸す・(更地にして)手放すといった出口へ進みます。 売却時には、一定の要件を満たすと譲渡所得から控除できる特例があり、期限にも注意が必要です。 制度の要件は 相続空き家の3,000万円控除|売却時の要件と注意点 に、相続税を抑える特例は 空き家の相続税を80%減額|小規模宅地等の特例と家なき子の条件 にまとめています。更地にして手放す前に費用感を知りたい人は 空き家の解体費用相場|補助金と「解体しない」という選択肢 もあわせてどうぞ。

④ 費用の内訳と、見落としがちな落とし穴

このセクションの要点は「実家じまいの費用は"片付け代"だけではない」ということです。

実家じまいというと片付け・解体の費用ばかり注目されますが、実際には 複数の費用がセットでかかります。全体像を先に押さえておくと、見積もりで驚かずに済みます。

落とし穴になりやすいのが、「決めないまま維持費だけ払い続ける」時間です。 判断を1年先送りするたびに維持費と機会損失が積み上がります。 また、相続税そのものが払えないケースでは、 納税を分割する延納や、物で納める物納といった制度もあります (出典:No.4211 相続税の延納|国税庁・2026年8月時点)。 「税金が払えないから放置」だけは避け、選択肢を知ったうえで動きましょう。

※本記事の統計・制度は総務省・国土交通省・国税庁の公表情報(2026年8月時点)を引用しています。 税制や補助金は年度・自治体で異なり、要件も変わります。個別の実家じまいの判断は、 必ず自治体の最新情報の確認と、税理士・司法書士など専門家への相談のうえで行ってください。

次に読むべき記事(実家・空き家のハブ)

実家じまいは「名義 → 方針 → 片付け → 出口」の順に進めるのが基本です。 自分の状況に近いものから読み進めてみてください。

まとめ

実家じまいは、片付けから始めるのではなく、 ①名義を確認 → ②売る・貸す・持つの方針 → ③片付け → ④売却・活用という 順番で進めるのが、後悔しないコツです。

放置して困る空き家も、決断して整理すれば 次の誰かが住む住まいや、家賃を生む資産に変わります。 「持て余した実家」を「活かす資産」に変える道もあることを、ボロリッチはお伝えしています。