「空き家問題」と聞くと、多くの人は「社会が抱える困った課題」というイメージを持つでしょう。 しかし、この社会課題こそが、実は「格安中古物件投資」という投資機会の入り口になっています。
この記事では、空き家問題がなぜ投資チャンスになるのか、そして空き家活用ビジネスが 社会的意義と収益をどう両立できるのかを、リスクも含めて解説します。 格安中古物件投資そのものの基本については 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門 で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
目次
日本の空き家問題はどれくらい深刻なのか
総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」によると、日本全国の空き家数は約849万戸にのぼり、 総住宅数に占める割合は13.6%を記録しています。 (出典:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」)
さらに株式会社野村総合研究所の予測では、2038年には空き家数が2,303万戸、空き家率は31.5%にまで 上昇するとされています。 (出典:野村総合研究所) およそ15年後には、日本の家の3軒に1軒が空き家になる計算です。
図解:全国の空き家数の推移
この背景にあるのが、人口減少と少子高齢化です。持ち主が高齢になって施設に入居したり、 相続した家族が遠方に住んでいて管理できなかったりして、固定資産税だけがかさんでいく 「負の資産」となった空き家が、日本中に増え続けています。
なぜ「社会課題」が「投資機会」に変わるのか
「負の資産」となった空き家の所有者からすれば、たとえ二束三文の価格であっても、 手放せるものならすぐにでも手放したいというのが本音です。 社会問題となっている空き家を「格安の投資対象」として捉え直すこと—— これが格安中古物件投資の出発点になります。
売りたい人が多く、買いたい人が少ない状況は、買い手である投資家側の価格交渉力を強めます。 実際に取り扱われる物件の価格帯は100万円〜500万円が中心で、一般的な新築マンション投資が 数千万円〜億単位であるのとは、まったく異なる世界です。
こうした物件は金融機関の融資が付きにくいことから、現金での購入が基本戦略となります。 銀行の融資審査そのものが発生しないため、年収や勤務先といった個人の「属性」に 左右されにくいのも特徴です。この点は 少額×現金で始める戸建て投資|属性に左右されない理由 で詳しく解説しています。
また、物件価格そのものが小さいために、表面利回り15〜25%になる例も珍しくありません。 利回りの具体的な計算方法は 築古戸建ての利回り計算方法|表面利回りと実質利回りの違い で解説しています。
空き家活用ビジネスの社会的意義
空き家問題を投資機会として捉えることは、単に「安く買って儲ける」というだけの話ではありません。 空き家活用ビジネスには、収益と両立できる社会的な意義が2つあります。
一つ目は、所有者にとっての意義です。管理できないまま固定資産税だけを 払い続けていた「負の資産」を手放し、経済的な負担から解放されます。 放置されたままの空き家が誰かの手で活用されることは、所有者にとっても前向きな選択肢になります。
二つ目は、入居者にとっての意義です。一般的な賃貸市場では、選択肢が 限られてしまう入居希望者が一定数存在します。例えば、大手不動産情報サイトの調査によると、 ペット飼育が可能な賃貸物件は全体の約12%しかないとされています。 また、偏見から生活保護受給者の入居を断る大家も少なくありませんが、生活保護には 家賃を補助する「住宅扶助」や、自治体が家賃を直接振り込む「代理納付」という仕組みがあり、 家賃滞納リスクが低い、安定した入居者と捉えることもできます。
空き家活用ビジネスが生み出す3つの立場のメリット
同時に成立する
私たちが実践しているのは、こうした「他の大家が敬遠しがちな層」にも門戸を広げ、 相場より安い家賃で受け入れることで、住まいの選択肢を増やすという客付けの考え方です。 具体的な戦略は 築古戸建ての客付け・入居募集のコツ|ボロ屋でも入居は決まる で詳しく解説しています。
事故物件(心理的瑕疵物件)についても同様の考え方が当てはまります。宅地建物取引業法で 定められた告知義務を誠実に守った上で、相場より大幅に低い家賃を設定すれば、 「過去よりも今の家賃を優先したい」という一定のニーズに応えることができます。 これも、忌避されがちな物件を有効活用するという意味で、社会的な意義の一つと言えるでしょう。
「儲かればいい」で終わらせてはいけない理由
ただし、社会的意義を強調するあまり、「良いことをしているのだから儲かって当然」と 考えるのは危険です。格安中古物件投資には、価格の安さゆえのリスクが確かに存在します。
隠れた欠陥リスク
再建築不可リスク
長期空室リスク
税金・経費リスク
自然災害リスク
こうしたリスクを具体的な金額として見積もり、事業計画に織り込んでおくことが欠かせません。 実際の失敗パターンは ボロ戸建て投資の失敗例7選|築古戸建てで後悔しないための回避策 で、契約前に確認すべきポイントは 買ってはいけない築古戸建てチェックリスト|プロが見るポイント で詳しく解説しています。
※入居者審査においては「偏見であってはならない」という前提を忘れてはなりません。 独自の基準を設ける場合も、公正かつ適法に行う必要があります。
空き家問題は今後も続く——投資としての将来性
空き家問題は、今後さらに深刻化していくことが予測されています。前述の通り、 野村総合研究所の予測では2038年に空き家率31.5%、2,303万戸に達するとされ、 この傾向は人口減少・少子高齢化という潮流が続く限り変わりません。
これは投資家にとって、仕入れ対象となる物件が市場に溢れ続けるという、 供給サイドの優位性を意味します。売りたい人が多く買いたい人が少ない状況が続けば、 物件を安く仕入れるという行為は、今後ますます容易になっていく可能性があります。
一方で「人口が減れば借り手も減るのではないか」という懸念もあります。 この点については、長期的に保有する物件を建物の状態や賃貸需要が見込めるエリアに厳選すること、 そして相場よりはるかに安い仕入れ価格を背景にした家賃設定の価格競争力で対応できると考えられています。
まとめ
空き家問題は、放置しておけば負担であり続けますが、正しい知識とリスク管理を伴う形で 投資対象として活用すれば、所有者の負担軽減、住まいの選択肢が少ない入居者への提供、 そして投資家自身の収益という、複数の立場にとってプラスになる仕組みをつくることができます。
「儲かればいい」ではなく、リスクを具体的に見積もり、告知義務や公正な審査といった 最低限のルールを守った上で取り組むこと——それが、社会的意義と収益を両立させるための出発点です。
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