相続税評価額を調べるための書類と電卓。路線価図の見方を確認するイメージ

「実家を相続することになったけど、そもそも相続税ってかかるの?」——この最初の関門でつまずく人はとても多いです。 判断の起点になるのが、土地の値段を国が示した路線価(ろせんか)と、それを地図にした路線価図です。

路線価図は誰でも無料で見られますが、道路に並んだ数字とアルファベットの記号の意味が分からず、開いた瞬間に諦めてしまう人が少なくありません。 この記事では、路線価図の記号の見方と、相続した実家に相続税がかかりそうかを自分でざっくり調べる手順を、初心者向けに整理します。

結論:路線価図は「数字×面積」で評価額のあたりが付く

このセクションの要点:路線価図の数字は1㎡あたりの価額(千円単位)。それに土地の面積をかければ、相続税評価額のおおよそがつかめます。

先に結論を3点でまとめます。

相続税がかかるかどうかは、土地・建物・預貯金などを合計した遺産額が基礎控除を超えるかで決まります。 その中で金額が大きくなりがちなのが土地です。まず土地のあたりを付ければ、「相続税がかかりそうか/かからなそうか」の見当がつくというわけです。

※本記事は一般的な情報提供であり、特定の土地の評価額や税額を保証するものではありません。実際の相続税評価には各種補正や特例が関わり、専門的な判断が必要です。正確な金額は税理士や税務署にご確認ください(2026年9月時点)。

そもそも路線価とは?なぜ自分で見るのか

このセクションの要点:路線価は相続税・贈与税を計算するための「道路ごとの土地の値段」。国税庁が毎年7月に公表しています。

路線価(相続税路線価)とは、相続税や贈与税で土地を評価するために、国税庁が道路ごとに定めた1㎡あたりの価額です。 その道路に面した宅地の価値を示す基準で、毎年公表され、路線価が定められた地域の土地はこの路線価方式で評価します (参考:国税庁タックスアンサー No.4602 土地家屋の評価(2026年9月時点))。

なぜわざわざ自分で見るのか。理由は「相続税がかかるかの見当を、税理士に相談する前に自分で付けられる」からです。 相続した実家をどうするか(売る・貸す・持つ)を考えるとき、税金の有無は大きな分かれ道になります。ざっくりでも自分で把握しておくと、専門家への相談もスムーズになります。

なお、路線価は毎年7月ごろに国税庁が公表し、その年の1月1日から12月31日までに発生した相続・贈与に使います。相続開始の年(亡くなった年)の路線価を使う点に注意してください。

路線価図を開く手順(国税庁サイト)

このセクションの要点:国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」を開き、都道府県→市区町村→町名とたどれば、無料で自分の土地の路線価図が見られます。

路線価図は国税庁の公式サイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で誰でも無料で閲覧できます (国税庁 財産評価基準書(2026年9月時点))。 次の順にたどるだけです。

路線価図にたどり着く4ステップ

1
相続開始
年分を選ぶ
2
都道府県を
選ぶ
3
市区町村・
町名を選ぶ
4
地図で対象の
道路を探す

地図が表示されたら、調べたい土地が面している道路を探します。地番(住所の番地とは別の登記上の番号)が分からなくても、目印になる建物や交差点を頼りに、おおよその場所は特定できます。 その道路の上に書かれた数字とアルファベットが、これから読み解く「路線価の記号」です。

もし対象地域を選んでも路線価図が出ず「倍率地域」と表示された場合は、路線価方式ではなく後述の倍率方式で評価する地域です。地方の郊外や田畑・山林に多いパターンです。

記号と数字の見方——ここが最大の関門

このセクションの要点:数字は「1㎡=◯千円」、右のアルファベットは借地権割合。持ち家の土地評価では、まず数字だけ見れば十分です。

路線価図でつまずく最大のポイントが、道路上の「150C」のような表記です。これは2つの情報がくっついています。

図解:路線価図の「150C」が意味するもの

150C 数字「150」=価額 1㎡あたり 150千円 = 15万円 / ㎡ まずはこの数字だけ見る 記号「C」=借地権割合 貸地・借地のときに使う A=90% … G=30% 自分の持ち家なら気にしない
路線価図の表記の考え方を単純化した図(2026年9月時点)。実際の数値は物件により異なります。

まず数字。これは1㎡あたりの価額を千円単位で表したものです。「150」なら1㎡=150千円=15万円。 「1,000」なら1㎡=100万円という意味です。相続する土地の評価は、まずこの数字を読むところから始まります。

次に、数字の右についたアルファベット(A〜G)は「借地権割合」を表す記号です。Aが90%、Bが80%……と10%ずつ下がり、Gが30%を示します (参考:国税庁 財産評価基準書の凡例(2026年9月時点))。 これは土地を人に貸している(貸地)/人から借りている(借地)ときに評価を調整するための数字です。 自分が住んでいた・空き家にしている“持ち家の土地”を評価するだけなら、当面この記号は気にしなくて構いません。

記号 借地権割合 主に関係する人
数字(例:150)―(1㎡あたり150千円)すべての人(評価の出発点)
A 〜 C90%〜70%貸地・借地がある人
D 〜 G60%〜30%貸地・借地がある人

つまり、はじめて路線価図を見る人が押さえるべきは「数字=1㎡◯千円」だけ。アルファベットは、貸している土地・借りている土地を扱うときに戻ってくれば十分です。

路線価方式での評価額の計算式

このセクションの要点:評価額は「路線価(円)× 面積(㎡)」が基本。実際はここに土地の形などによる補正が入ります。

路線価が分かれば、土地の相続税評価額のおおよそは次の式で出せます。

図解:路線価方式の基本計算

路線価 (円/㎡) × 地積 (面積㎡) × 各種補正率 (形・奥行など) = 土地の相続税評価額
考え方を単純化した概念図(2026年9月時点)。実際は形状・接道状況などで補正が入ります。

たとえば路線価「150(=15万円/㎡)」の道路に面した100㎡の整った土地なら、ざっくり15万円 × 100㎡ = 1,500万円が評価額のあたりになります。 これがまず自分でつかむべき数字です。

ただし実際の相続税評価では、土地の形(不整形地)、奥行きの長短、間口の狭さ、複数の道路に接しているかなどによって、価額を上げ下げする「補正率」がかかります (参考:国税庁タックスアンサー No.4602(2026年9月時点))。 築古・空き家の土地はいびつな形や旗竿地(はたざおち)も多く、補正で評価が下がることも珍しくありません。細かな補正は税理士に任せ、まずは「路線価×面積」でおおよそを把握すれば十分です。

路線価がない地域は「倍率方式」

このセクションの要点:路線価が定められていない地域は、固定資産税評価額に地域ごとの倍率をかけて評価します。地方の物件で多いパターンです。

郊外や田畑・山林など、路線価が定められていない地域もあります。この場合は倍率方式で評価し、計算式は次の通りです。

固定資産税評価額 × 倍率 = 土地の相続税評価額

固定資産税評価額は、毎年春に届く固定資産税の課税明細書や、市区町村で取れる評価証明書で確認できます。 かける倍率は、路線価図と同じ国税庁「財産評価基準書」の中の「評価倍率表」で、地域・地目(宅地・田・畑など)ごとに調べられます (国税庁 財産評価基準書(2026年9月時点))。

地方の築古戸建てや相続した実家は、この倍率地域に当たることも多いです。固定資産税の明細が手元にあれば計算はむしろ簡単なので、路線価図が出なくても慌てずに評価倍率表を確認しましょう。 なお、空き家として持ち続けるとかかる税金の全体像は空き家を持ち続けると税金はいくら?にまとめています。

出した評価額を基礎控除と比べる

このセクションの要点:土地・建物・預貯金などの合計が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えなければ、相続税はかかりません。

土地の評価額のあたりが付いたら、次は相続税がかかるのかを確かめます。判断の基準が基礎控除で、次の式で計算します (参考:国税庁タックスアンサー No.4152 相続税の計算(2026年9月時点))。

基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば法定相続人が3人なら、基礎控除は3,000万円+600万円×3=4,800万円。 土地・建物・預貯金などプラスの財産から借入などマイナスを引いた正味の遺産総額がこの4,800万円以下なら、原則として相続税はかかりません(申告も原則不要)。

築古・地方の実家は土地評価がそれほど高くならないことも多く、基礎控除の範囲に収まって相続税ゼロというケースは実際によくあります。 逆に都市部で土地の評価が大きい場合は、相続空き家の3,000万円特別控除や小規模宅地等の特例など、使える制度があるかを検討することになります。

※基礎控除を超えるかは、土地以外の建物・預貯金・有価証券なども合算して判断します。特例の適用には要件があり、特例を使って相続税がゼロになる場合でも申告が必要なことがあります。実際の判断は必ず税理士・税務署にご確認ください(2026年9月時点)。

築古・空き家ならではの注意点

このセクションの要点:形のいびつな土地は補正で下がる一方、更地にすると特例が外れて固定資産税が上がるなど、税金は「相続税」だけで完結しません。

相続した築古・空き家の土地を路線価で見るとき、投資家・実家の相続人が押さえておきたい点を3つ挙げます。

相続税がかかるかの見当が付いたら、次はその実家を売る・貸す・持つのどれにするかという出口の判断に進みます。 元気なうちに家族で方針を決めておく生前対策は実家の相続 生前対策、生前贈与に使える制度は相続時精算課税の110万円控除にまとめています。

次に読むべき記事

このセクションの要点:路線価で「かかるか」を把握したら、実家をどうするか・築古投資としてどう活かすかの記事に進むと全体像がつかめます。

相続税評価は「実家をどうするか」を考える入口です。次の関連記事を流れの順に読むと判断しやすくなります。

まとめ

路線価図の記号は、実は難しくありません。道路上の数字=1㎡あたりの価額(千円単位)、右のアルファベットは貸地・借地のときだけ使う借地権割合(A90%〜G30%)。 持ち家の土地なら、まず「路線価 × 面積」で評価額のあたりを付けるところから始めれば十分です。

路線価がない地域は固定資産税評価額 × 倍率で計算し、出した土地評価に建物・預貯金などを足して、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかを確かめます (参考:国税庁タックスアンサー No.4152(2026年9月時点))。 ここまで自分で把握できれば、税理士への相談も、実家を売る・貸す・持つの判断も、ぐっと具体的に進められます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の相続税評価・税額・投資成果を保証するものではありません。制度・税制は変更される場合があり、実際の評価には各種補正・特例が関わります。必ず国税庁の一次情報や税理士・税務署にご確認ください(2026年9月時点)。