「相続した実家、売るより貸して家賃収入にしたい」—— そう考える人にとって追い風のニュースがありました。国が空き家をリフォームして貸す人を後押しする方向で動き始めています。
国土交通省は、空き家を直して子育て世帯や中低所得者向けの賃貸住宅にする事業者へ、リフォーム資金を低利で融資する制度の創設を検討しています(2027年度予算の概算要求に関連費用を計上)。ただしこれはまだ「検討中」で、開始は2027年度以降の予定です。
そこでこの記事は、制度の紹介は冒頭だけにとどめ、記事の大半を「では、今の自分は何をすればいいか」に充てます。売る・貸す・持つの判断から、改修費用・補助金・客付け・遠方管理まで、空き家を貸して活かすための意思決定の順に、過去記事のリンクとあわせて一枚に整理しました。
目次
結論:制度を待つ前に、今できる5ステップ
このセクションの要点:低利融資はまだ検討中。制度の有無に関わらず、今できる準備を進めた人から家賃収入に近づきます。
先に結論を3点でまとめます。
- 国は「空き家を貸す」を後押しする方向:リフォーム資金の低利融資制度を検討中だが、開始は2027年度以降の予定で、まだ確定していない(出典:時事通信「空き家の賃貸活用を促進 国交省、事業者の資金調達支援」・2026年9月時点)
- 待たずに動けるお金の付け方がある:既存の改修補助金(国+自治体)は今も使える。将来の低利融資は「使えたら上乗せ」くらいに考え、まず補助金の当たりを付けておく
- 順番が命:①貸す向きか判断 →②どこまで直すか決める →③補助金でお金を組む →④客付け →⑤遠方なら管理。この順で進めれば、空き家が毎月家賃を生む資産に変わる
制度が始まるのを待って何もしないより、今できる準備を終えた人のほうが、いざ融資や補助が使えるときに一歩先に進めます。 以下、5つのステップを順に見ていきましょう。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の投資・税務・法務上の助言ではありません。制度の内容・時期・要件は今後変わる可能性があり、最新情報は国土交通省・各自治体の公表内容や専門家にご確認ください。
① 何が起きている?国が「貸して活かす」を後押し
このセクションの要点:空き家対策は「壊す・売る」から「直して貸す」へ。国の支援メニューもそちらに広がっています。
これまでの空き家対策は、危険な家を解体・撤去する方向が中心でした。 しかし全国の空き家が増え続けるなか、国は「使える家は直して貸し、住まいとして活かす」方向の支援を強めています。
今回報じられた新制度もその流れの一つです。政府が住宅金融支援機構に拠出する資金の運用益を使い、空き家をリフォームして賃貸に回す事業者へ低利で資金を融資する仕組みが検討されています(出典:時事通信・2026年9月8日/2026年9月時点)。
ただし大事なのは「まだ検討段階」だということです。概算要求に費用が盛り込まれた段階で、開始は2027年度以降の予定。対象や条件も今後詰められます。制度を当てにして買い急ぐのは禁物で、まずは今ある制度と自分の物件で判断するのが正解です。
図解:空き家を「貸して活かす」までの5ステップ
② 自分は貸す向き?売る・貸す・持つの分かれ道
このセクションの要点:すべての空き家が「貸す」正解ではありません。まず売る・貸す・持つのどれが得かを見極めます。
「貸したい」と思っても、立地や状態によっては売ったほうが得な家もあります。 まずは自分の物件が賃貸に向いているかを、次の観点で確認しましょう。
| こんな家は | 向いている出口 |
|---|---|
| 駅・スーパーが近い/需要のある地域 | 貸す(家賃収入を狙える) |
| 直せば十分住める・改修費が家賃で回収できる | 貸す |
| 修繕費が高すぎて家賃で回収できない | 現況で売る・古家付きで売る |
| 再建築不可・借地など出口が限られる | 専門家と要相談(安易に持たない) |
判断に迷ったら、持ち続けるコストと比べるのが近道です。空き家は持っているだけで固定資産税・保険・管理費がかかります。 年間の維持費と、貸したときの家賃を並べて考えましょう(実家の維持費は年間いくら?持ち続けて損する人・貸す人)。
「売る」に傾く場合は相続した実家が売れないどうする?負動産化を防ぐ出口5つを、 投資として持つか売るかを整理したい場合は築古戸建ての出口戦略|売るか持ち続けるかの判断基準を合わせて読むと、自分の答えが見えてきます。
③ いくらかかる?改修費用と「どこまで直すか」
このセクションの要点:貸すと決めたら、次は「どこまで直すか」。全部きれいにする必要はありません。
貸すための改修で最も多い失敗が、直しすぎです。見た目を新品同様にしても、その分の費用が家賃に上乗せできるとは限りません。 大切なのは「入居者が決まる最低ライン」を見極め、そこにお金を集中することです。
優先すべきは雨漏り・シロアリ・給排水・電気といった「住めるかどうか」に関わる部分。 逆に、内装のグレードアップは後回しでも入居は決まります。どこまで直すかの考え方は ボロ戸建てのリフォーム費用の考え方|どこまで直すのが正解かで詳しく解説しています。
2026年は資材や人件費の高騰で見積りが上がりやすい時期です。予算を抑える順番は 築古リフォーム費用が高い2026|資材高騰でも予算を抑える順番を確認してください。
さらに一歩踏み込むなら、あえて直さず「現状渡し・DIY可」で貸すという逆転の手もあります。改修費をかけずに貸し出す方法は ボロ戸建てを直さず貸す|現状渡し・DIY可という逆転戦略で解説しています。改修費が重いと感じたら、まずこの選択肢を検討する価値があります。
④ お金をどう賄う?補助金→将来の低利融資
このセクションの要点:改修費のお金は「補助金(今使える)」が主役。低利融資は将来の上乗せと考えます。
冒頭の低利融資はまだ検討中ですが、改修費を軽くする制度は今も使えます。それが国と自治体の改修補助金です。 「国の制度」+「自治体の制度」を2階建てで探すのが、もらえる額を最大化するコツです。
どこで探すか・自分は対象か・申請前に着工するとNGといった実務は 空き家の改修補助金はどう探す?貸すなら自治体×国で最大化にまとめてあります。 目的別(断熱・耐震など)に使える国の補助金は 築古戸建てのリフォーム補助金2026まとめ|窓リノベ最大100万・目的別で確認してください。
そのうえで、将来の低利融資は「使えたらラッキー」の上乗せと位置づけましょう。 今回の制度は「子育て世帯や中低所得者向けの賃貸」に使う事業者が対象とされています(2026年9月時点の報道)。要件が固まれば、こうした住宅セーフティネット向けの貸し方と相性がよくなる可能性があります。
生活保護受給者などの入居受け入れは、実は空室リスクを下げる選択肢にもなります。メリットと注意点は 生活保護受給者の入居受け入れ|築古戸建て投資のメリットと注意点で解説しています。
※補助金・融資の対象や金額・時期は制度改正や予算成立の状況で変わります。申請前に必ず、物件所在地の自治体・国土交通省の公表内容や専門家にご確認ください。
⑤ 貸したあと:客付けと遠方管理
このセクションの要点:直して終わりではありません。入居者を決め、遠方でも管理が回る仕組みを作って初めて収入になります。
改修が終わったら次は客付け(入居募集)です。「ボロ屋だから決まらない」と諦める必要はありません。 家賃設定・写真・募集条件を工夫すれば入居は決まります。具体的なコツは 築古戸建ての客付け・入居募集のコツ|ボロ屋でも入居は決まるにまとめました。
相続した実家など遠方の空き家を貸す場合は、管理をどう回すかが収益を左右します。 放置リスクと管理の費用相場は 遠方の空き家管理はどうする?放置リスクと費用相場まとめで確認してください。
貸して家賃が入り始めたら、翌年からは確定申告が必要になります。相続した賃貸物件の申告漏れは追徴の対象になるため、 相続した賃貸不動産の申告漏れは危険|追徴課税を防ぐ確定申告で早めに備えておくと安心です。
①判断する
売る・貸す・持つ
②直す・組む
改修費と補助金
③貸す・回す
客付けと管理
次に読むべき記事(貸して活かすの地図)
このセクションの要点:この記事はハブです。各ステップの詳細記事を順に読むと、空き家を貸すまでの道筋が一枚につながります。
- 売る・貸す・持つの判断:実家の維持費は年間いくら?持ち続けて損する人・貸す人
- どこまで直すか:ボロ戸建てのリフォーム費用の考え方|どこまで直すのが正解か
- 直さず貸す選択肢:ボロ戸建てを直さず貸す|現状渡し・DIY可という逆転戦略
- 補助金の探し方:空き家の改修補助金はどう探す?貸すなら自治体×国で最大化
- 客付けのコツ:築古戸建ての客付け・入居募集のコツ|ボロ屋でも入居は決まる
- 遠方の管理:遠方の空き家管理はどうする?放置リスクと費用相場まとめ
「そもそも空き家をどう資産に変えるのか」を基礎から知りたい方は、入門ガイド 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門 からどうぞ。眠った空き家を、毎月家賃を生む資産に変える全体像がつかめます。
まとめ
国は空き家を「直して貸す」方向を後押しし、リフォーム資金の低利融資も検討し始めました。ただし開始は2027年度以降の予定で、まだ確定していません (出典:時事通信・2026年9月時点)。
制度を待つより、今できる準備を進めた人が先に進めます。①売る・貸す・持つを判断 →②どこまで直すか決める →③補助金でお金を組む →④客付け →⑤遠方なら管理。 この順で動けば、空き家は毎月家賃を生む資産に変わります。
とくに改修費は「補助金(今使える)」が主役、低利融資は将来の上乗せと考えるのが堅実です。焦って買い急がず、自分の物件と今ある制度で一歩ずつ進めましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の投資・税務・法務上の助言ではありません。 制度の内容・時期・要件、補助金や融資の可否は今後変わる可能性があります。必ず国土交通省・各自治体の公表内容や、税理士など専門家にご確認ください。