「安く買えたのはいいけれど、リフォームに何十万円もかけたら利回りが下がってしまう」—— ボロ戸建て投資でよくある悩みです。
そこで一度は考えるのが「リフォームせず、現状のまま貸せないか?」という発想。 いわゆる現状渡し(現況渡し)・DIY可という貸し方です。
この記事では、リフォームを最小化して貸すという逆転戦略について、 利回りへの効果、入居者を見つける考え方、そして向く物件・向かない物件の見極め方まで解説します。 格安中古物件投資そのものの基本を先に押さえたい方は、 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門 もあわせてご覧ください。
「汚いまま貸す」というボロ戸建て投資の逆転発想
要点:全部きれいに直すのが正解とは限らず、あえて直さず貸す戦略も選択肢になります。
新築や築浅の賃貸では、部屋をきれいに整えて貸すのが当たり前です。 しかし築古のボロ戸建てで同じ発想に立つと、リフォーム費用がかさみ、利回りを押し下げてしまいます。
弊社の投資ノウハウでは、「汚いまま貸す」という逆転の発想—— つまり手を入れすぎず、DIYを楽しみたい入居者を見つけるニッチ戦略を、一つの選択肢として位置づけています。
背景にあるのは、ボロ戸建て投資の本質です。 目的は部屋をきれいにすることではなく、「人が住める状態を保ちながら、家賃収入を得続けること」。 この目的から逆算すれば、リフォームは「必要な分だけ」で十分だと分かります。
直さず貸すと利回りはどう変わるのか
要点:リフォーム費用は利回り計算の「分母」であり、抑えるほど利回りは上がります。
不動産投資の表面利回りは、「年間家賃収入 ÷ 総投資額 × 100」で計算します。 総投資額は物件価格だけでなく、リフォーム費用も含んだ合計です。
つまりリフォーム費用は利回りの「分母」。ここを抑えれば、同じ家賃でも利回りは上がります。 逆に、過剰にリフォームすれば分母がふくらみ、利回りは下がります。
図解:リフォーム費用を抑えると利回りの分母が小さくなる
上の図は、物件価格150万円・年間家賃45.6万円(月38,000円)を共通条件にした試算例です。 フルリフォーム100万円だと総投資額250万円で表面利回りは約18.2%。
一方、清掃や最低限の補修だけ10万円で済ませると、総投資額は160万円まで下がり、 表面利回りは約28.5%まで上がります。同じ家賃でも、これだけの差が出るのです。
ただし、これは「家賃が同じなら」という前提での話です。 現状渡しは家賃を下げることが多いため、実際は下げ幅も含めてバランスを見る必要があります。 利回り計算の基本や実質利回りとの違いは、 築古戸建ての利回り計算方法|表面利回りと実質利回りの違い で詳しく解説しています。
カギは「入居者の窓口を広げる」こと
要点:直さず貸すなら、万人受けを狙わず、特定のニーズを持つ入居者に的を絞ります。
現状渡しの物件は、当然ながら見た目がきれいではありません。 新築アパートと同じ土俵で「ごく一般的なファミリー層」を狙っても、勝ち目は薄いでしょう。
そこで弊社が重視するのが、「入居者の窓口を極限まで広げる」という考え方です。 多くの大家が敬遠するニーズにこそ、直さず貸すボロ戸建ての活路があります。
図解:ターゲットを絞らず「窓口」を広げる
なかでも現状渡しと相性がよいのが、DIYを楽しみたい入居者です。 壁を塗ったり床を張り替えたりを自分でやりたい人にとって、 「好きに手を加えていい家」はむしろ魅力になります。
さらに、ペットの多頭飼いや大型犬を飼いたい層、生活保護を受給されている層など、 物件の選択肢が少なく困っている人に門戸を開くのも有効です。 生活保護受給者の受け入れについては、 生活保護受給者の入居受け入れ|築古戸建て投資のメリットと注意点 で詳しく解説しています。
そして最後の切り札は、やはり「相場より安い家賃」と「初期費用を抑える」こと。 きれいさより経済的メリットを優先したい人は、確実に存在します。 客付けの具体的な工夫は、 築古戸建ての客付け・入居募集のコツ|ボロ屋でも入居は決まる をあわせてご覧ください。
現状渡しが向く物件・向かない物件
要点:「安全と生活インフラが確保できるか」が、直さず貸せるかの分かれ目です。
「直さず貸す」といっても、危険な状態のまま貸すという意味ではありません。 安全性と最低限の生活インフラが保たれているかどうかが、判断の分かれ目になります。
図解:直さず貸せるか?の判断フロー
まず、雨漏り・シロアリ・柱の腐食といった「安全や建物の寿命に関わる欠陥」があれば、 直さず貸すことはできません。これは入居者の見た目の好みとは別の、貸主の責任の領域です。
次に、水道やトイレ、給湯といった生活インフラが使えない場合は、 最低限の改修が必要です。とくにトイレの洋式化や給湯設備の改善は、 費用対効果が高い優先項目とされています。どこを優先して直すかの考え方は、 ボロ戸建てのリフォーム費用の考え方|どこまで直すのが正解か で詳しく解説しています。
逆に、クロスの汚れや畳の古さ、壁の日焼けといった「見た目だけの問題」は、 現状渡しでも十分に貸せる範囲です。ここを入居者のDIYに委ねることで、費用を大きく圧縮できます。
現状渡しで貸すときの3つの注意点
要点:現状渡しは万能ではなく、契約と入居者選びで押さえるべき点があります。
直さず貸すのは強力な戦略ですが、いくつか注意点があります。 よくある3つのポイントを整理しておきましょう。
- ① 隠れた欠陥を「見た目の問題」と混同しない:短い内見では欠陥を見抜けません。空き家期間が長い物件ほど、水道管の劣化や給湯器の故障を想定し、補修費を多めに見積もっておきます。
- ② 契約でDIYの範囲と原状回復を明確にする:どこまで手を加えてよいか、退去時の扱いをどうするかを、あらかじめ書面ですり合わせておくとトラブルを避けられます。
- ③ 入居者トラブルは「仕組み」で防ぐ:家賃保証会社への加入を必須にしたうえで、独自の審査も行う二段構えが安心です。
空き家期間から欠陥リスクを見立てる考え方は、 買ってはいけない築古戸建てチェックリスト|プロが見るポイント でも解説しています。悪いケースの補修費を上乗せしても目標利回りを確保できるか、という視点が基本です。
また、リフォームを削りすぎて設備の状態が悪いまま貸すと、 かえって長期空室という大きな損失につながることもあります。 こうした判断ミスの実例は、 ボロ戸建て投資の失敗例7選|築古戸建てで後悔しないための回避策 で紹介していますので、あわせてご覧ください。
まとめ
ボロ戸建ては「全部きれいに直す」だけが正解ではありません。 安全と生活インフラを確保したうえで、見た目は入居者のDIYに委ねる「現状渡し」は、 総投資額を抑えて利回りを高める有効な選択肢です。
カギは、万人受けを狙わず、DIY好きや安さ重視の層など入居者の窓口を広げること。 そして、隠れた欠陥・契約・入居者選びの3点を押さえて、リスクを「想定内」に収めることです。
格安中古物件投資の基本や利回りの考え方については 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門で、 どこまで直すかの優先順位については ボロ戸建てのリフォーム費用の考え方|どこまで直すのが正解かで、 表面利回りと実質利回りの計算方法については 築古戸建ての利回り計算方法|表面利回りと実質利回りの違いで、 入居者を見つける客付けのコツについては 築古戸建ての客付け・入居募集のコツ|ボロ屋でも入居は決まるで、 契約前に確認すべきポイントについては 買ってはいけない築古戸建てチェックリスト|プロが見るポイント でも詳しく解説していますので、あわせてお読みください。