リフォーム中の築古戸建ての室内。資材高騰でリフォーム費用が上がるなか、どこまで直すかが利回りを左右する

「安く買えたのに、リフォームの見積もりが去年より高い」—— 築古・空き家投資を続けている人ほど、2026年に入ってそう感じているのではないでしょうか。

背景にあるのは、建築資材の値上がりと人件費の上昇です。 国の統計でも工事費は上昇傾向が続いており、リフォーム費用が高止まりしているのは気のせいではありません。

ただ、ここで「じゃあ今は買い時じゃない」と手を止めるのは早計です。この記事では、 「なぜ高い → 予算はいくら見る → どこにかけ、どこを削る → 補助金でどう取り戻す → 隠れコストをどう読む」の順に、 費用が上がった時代でも失敗しないリフォーム予算の組み方を、過去記事へのリンクつきでまとめます。

結論:高騰時代のリフォーム予算3原則

このセクションの要点:費用は「総投資額」で見て、生活直結の設備に絞り、補助金で取り戻す。これだけで高騰は乗り切れます。

先に結論を3点でまとめます。

つまり、「高いから買わない」ではなく「高い前提で組み立てる」のが正解です。 仕入れ値・直す範囲・補助金の3つを動かせば、費用が上がった今でも十分に利回りは確保できます。

※本記事は一般的な情報提供であり、個別の投資判断や工事費の保証ではありません。具体的な費用は物件の状態や地域・業者によって大きく異なるため、必ず複数の見積もりで確認してください。

なぜ2026年のリフォーム費用は高いのか

このセクションの要点:資材と人件費の上昇で工事費が高止まり。国の統計でも工事費は上昇傾向が続いています。

リフォーム費用が上がっている一番の理由は、建築資材の価格と職人の人件費の上昇です。 木材・住宅設備・鋼材などの資材価格が世界的な要因で上下しやすくなっており、あわせて建設業の人手不足で人件費も上昇基調にあります。

工事費の水準は、国土交通省が公表する建設工事費デフレーターで確認できます。これは建設工事にかかる費用の推移を指数化した公的な統計で、 近年は工事費が上昇傾向で推移していることが読み取れます (出典:国土交通省 建設工事費デフレーター・2026年9月時点)。

供給側の変化も追い風にはなりません。大手ハウスメーカーが地方の新築事業を縮小する動きもあり、新築の価格はさらに上がる方向です (出典:大和ハウス工業、23道県から撤退 新築戸建ての事業で(時事通信・2026年9月))。 裏を返せば、新築が高くなるほど「直して使う築古」の相対的な価値は上がるということ。工事費の上昇だけを見て諦める必要はありません。

リフォーム前の傷んだ築古戸建て。資材高騰でも仕入れ値を抑えれば総投資額で利回りは確保できる

自分の予算はいくら見る?総投資額で考える

このセクションの要点:リフォーム費用は単体で見ず、総投資額(=利回りの分母)で判断する。高騰分は仕入れ値で吸収します。

費用が上がった時代でも判断がブレないコツは、リフォーム費用を単独で見ないことです。投資の利回りは 「年間家賃収入 ÷ 総投資額 × 100」で決まり、この総投資額は 物件価格+仲介手数料+リフォーム費用+登記費用の合計です。

つまり、リフォーム費用が2〜3割上がっても、物件価格を同じだけ安く仕入れられれば総投資額は変わりません。 高騰時代の勝ち筋は「工事費を無理に叩く」ことより、その工事費でも成り立つ安い物件を選ぶことにあります。

図解:高騰分は「仕入れ値」で吸収する

これまで 物件価格(安い) リフォーム 高騰後の正解 物件価格(さらに安く) リフォーム(高い) 総投資額=同じ 総投資額=同じ
リフォーム費用が上がっても、仕入れ値を下げれば総投資額(利回りの分母)は守れます

表面利回りと実質利回りの違いや、経費を差し引いた本当の手残りの計算方法は、 築古戸建ての利回り計算方法|表面利回りと実質利回りの違い で詳しく解説しています。見積もりが上がった今こそ、感覚ではなく数字で判断することが失敗を防ぎます。

どこにかけ、どこを削るか(優先順位)

このセクションの要点:入居に直結する設備に集中し、見た目だけの全面改装は削る。高騰時代ほど「やりすぎ」が命取りです。

工事費が上がった今、もっとも効くのは直す範囲を絞ることです。ボロ戸建てのリフォームは新築のように隅々まで新品にする必要はなく、 目的は「入居できる状態にする」こと。費用対効果の高い項目に集中させます。

費用対効果を重視したリフォームの優先順位

1
トイレの洋式化
2
和室→洋室
3
給湯設備の改善
見た目だけの
全面改装は後回し

弊社の投資ノウハウでも、費用対効果を重視したリフォームの優先度が高い項目として、次の3つを挙げています。 いずれも入居者の毎日の生活に直結する設備です。

逆に、内装全体を新築同様に仕上げる「やりすぎリフォーム」は、費用がかさむわりに家賃への反映が小さく、 高騰時代には総投資額を押し上げて利回りを削る最大の要因になります。どこまで直すかの線引きは ボロ戸建てのリフォーム費用の考え方|どこまで直すのが正解か で実例つきで解説しています。

さらに費用を抑えたいなら、あえて直さずに貸すという逆転の発想もあります。現状渡し・DIY可という貸し方は ボロ戸建てを直さず貸す|現状渡し・DIY可という逆転戦略 にまとめました。高騰局面では「直す範囲をゼロに近づける」選択肢も検討する価値があります。

上がった分を補助金で取り戻す

このセクションの要点:断熱・窓・自治体の空き家改修補助を使えば、高騰した工事費の一部を実質的に取り戻せます。

費用が上がった分は、使える補助金で取り戻すのが高騰時代の鉄則です。国の省エネ・断熱系の補助や、 自治体ごとの空き家改修補助は、条件に合えば工事費の一部をカバーしてくれます。

自治体の補助は年々手厚くなっている地域もあります。たとえば地域で利活用する空き家の改修に高額の補助を設ける自治体も出てきており (出典:いわき市 地域で利活用する空き家に改修補助 上限500万円(いわき民報・2026年9月))、 空き家バンク×利活用×移住の組み合わせでは特に大きく効きます。

どの補助が自分の物件で使えるかは、目的(断熱・窓・耐震・空き家活用)物件のある自治体で決まります。 目的別の探し方と代表的な制度は 築古戸建てのリフォーム補助金2026まとめ|窓リノベ最大100万・目的別 にまとめてあるので、見積もりを取る前に必ず確認してください。「工事してから」では申請に間に合わない補助が多いため、順番が重要です。

見落とすと予算が崩れる隠れコスト

このセクションの要点:表面の見積もりだけで判断すると、隠れた欠陥や設備の寿命で予算が一気に崩れます。

工事費が高い時代ほど怖いのが、契約後に発覚する「隠れた欠陥」です。短い内見では、雨漏り・シロアリ・柱の腐食・ 給排水管の劣化までは見抜けません。これらが購入後に出ると、想定していた予算を大きく超える追加工事が発生します。

判断材料になるのが空き家期間です。目安として次のように読みます。

高騰局面では、この「多めの見積もり」がとりわけ効いてきます。悪いケースの修繕費を上乗せしても目標利回りが残るかで購入を判断するのが基本です。 契約前に見るべきポイントは 買ってはいけない築古戸建てチェックリスト|プロが見るポイント に、実際に費用を見誤った失敗談は ボロ戸建て投資の失敗例7選|築古戸建てで後悔しないための回避策 にまとめています。

今月やること

このセクションの要点:見積もり比較→補助金の下調べ→総投資額での判断、の順で動けば高騰時代でもブレません。

※補助金の要件・締切・対象工事は自治体や年度により大きく異なります。申請前に必ず各自治体の公式ページや窓口でご確認ください。

次に読むべき記事

このセクションの要点:「予算の考え方→補助金→隠れコスト→出口」の順に読むと、高騰時代のリフォーム判断が一枚の地図になります。

リフォーム費用の高騰は、単体で悩むと苦しくなりますが、仕入れ・範囲・補助金・出口を通して見れば十分に打ち手があります。 次の関連記事を順に読むと、判断の全体像がつかめます。

築古・空き家投資そのものの基本から学びたい方は、 空き家投資の始め方|格安中古物件投資入門ガイド をご覧ください。高い時代でも、安く仕入れて必要な分だけ直せば、ボロ屋は家賃を生む資産になります。

まとめ

2026年はリフォーム費用が高止まりしています。国の建設工事費デフレーターでも工事費は上昇傾向で推移しており (国土交通省・2026年9月時点)、 見積もりが去年より高いのは事実です。

それでも打ち手は3つ。①総投資額で判断し高騰分は仕入れ値で吸収する、②生活直結の設備に絞ってやりすぎを避ける、③補助金で上振れを取り戻す。 この順で組み立てれば、費用が上がった今でも利回りは守れます。

むしろ新築が高くなるほど、直して使う築古の価値は相対的に上がります。 「高いから買わない」ではなく「高い前提でうまく組み立てる」——それが高騰時代の勝ち方です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の投資助言や工事費の保証ではありません。工事費・補助金は物件・地域・年度により大きく異なるため、必ず複数の見積もりと自治体の公式情報でご確認ください。