不動産の登記書類と家の鍵。住所変更登記の義務化に備えるイメージ

「相続登記が義務化されたのは知っている。でも、住所や氏名が変わったときの登記まで義務になったとは知らなかった」—— そんな方がとても多いテーマです。

2026年4月から、不動産の所有者の住所・氏名が変わったら2年以内に変更登記をする義務が始まります。 怠ると5万円以下の過料の対象になり得ます。相続で実家を得た人、引っ越しや結婚をした人はほぼ全員が対象です。

この記事は制度の条文をただ並べる解説ではなく、 「自分は対象か → いつまでに → 何をするか」を意思決定の順に決めるための保存版としてまとめます。 不動産投資で複数物件を持つ人・実家を相続した人が、あとで過料や売却トラブルに困らないための地図です。

結論:3行でわかる「住所変更登記の義務化」

このセクションの要点:住所・氏名が変わったら2年以内に変更登記。令和8年4月1日施行で、怠ると5万円以下の過料です。

先に結論を3点でまとめます。

出典は 法務省「住所等変更登記の申請義務化について」 (2026年8月時点)です。相続で実家を得た人はもちろん、引っ越しや結婚で住所・氏名が変わった所有者もすべて対象になる、影響範囲の広い制度です。

※本記事は一般的な情報提供であり、個別の登記・法務判断ではありません。適用の当てはめや必要書類は、法務局または司法書士にご確認ください。

何が変わった?相続登記に続く「もう一つの義務」

このセクションの要点:所有者不明土地をなくす一連の改正の一つ。相続登記義務化の陰に隠れた「住所・氏名版」です。

背景にあるのは、全国で深刻化している所有者不明土地の問題です。 登記簿の住所が古いままだと、行政や隣地が所有者に連絡できず、空き家対策や災害復旧が進まなくなります。

この対策として、2024年4月にまず相続登記の義務化が始まりました。 そして今回、所有者が生きている間の住所・氏名の変更についても登記を義務づけるのが、 2026年4月からの「住所等変更登記の義務化」です(出典:法務省・2026年8月時点)。

注意したいのは、これが相続の場面だけの話ではない点です。 引っ越しで住所が変わった、結婚や離婚で氏名が変わった——こうしたごく日常的な変化がすべて登記の義務につながるようになりました。 ボロ戸建てを複数持つ投資家なら、保有物件すべてが対象になります。

まず確認:自分は対象か(相続・引っ越し・結婚)

このセクションの要点:不動産を持っていて、住所か氏名が変わった(変わる予定の)人は全員が対象です。

「自分は関係あるのか」を最初に切り分けましょう。次のいずれかに当てはまれば対象です。

こんな人 なぜ対象になるか
実家を相続した相続登記で自分名義にした後、自分が引っ越すと住所変更登記が必要になる
引っ越した登記簿の住所と現住所がズレる。物件を持ったまま転居した人は全員対象
結婚・離婚した氏名(姓)が変わると、登記名義人の氏名変更登記が必要になる
投資物件を複数持つ転居すると保有する全物件で住所がズレる。まとめて手続きが要る

※対象や必要書類の詳細は法務省「住所等変更登記の申請義務化について」(2026年8月時点)をご確認ください。

特に見落としがちなのが、相続で実家を得たあとに自分が引っ越すケースです。 相続登記で実家を自分名義にした人は、その後の転居でも住所変更登記の義務が発生します。 相続後の手続き全体は 実家の空き家を相続したらどうする?放置のリスクと3つの選択肢 でも整理しています。

図解:いつまでに?新規は2年・過去分は令和10年3月末

このセクションの要点:施行後の変更は「変わってから2年以内」。施行前にすでに変わっている人は令和10年3月31日が期限です。

期限は2つのパターンに分かれます。ここを取り違えると、知らないうちに期限切れになります。

図解:住所変更登記の期限の考え方

義務化 施行 令和8年4月1日 施行前に変更済み → 令和10年3月31日まで 施行後に変更 → 変わった日から2年以内
出典:法務省「住所等変更登記の申請義務化について」(2026年8月時点)をもとに単純化して作成

つまり、過去に引っ越したまま登記を放置している人にも猶予の期限があるということです。 「もう住所が変わって何年も経つから関係ない」ではなく、令和10年3月31日という締め切りが全員に共通で設定されている点を押さえてください。

築古戸建ての外観。相続や転居で登記名義の住所を見直すイメージ

相続登記の義務化との違いを表で整理

このセクションの要点:相続登記は「3年以内・過料10万円」、住所変更登記は「2年以内・過料5万円」。期限も過料も別物です。

混同しやすい2つの義務を並べます。期限も過料の上限も違うので、別々に管理する必要があります。

項目 相続登記の義務化 住所・氏名変更登記
施行令和6年4月1日令和8年4月1日
期限取得を知った日から3年以内変わった日から2年以内
過料10万円以下5万円以下

※出典:法務省「住所等変更登記の申請義務化について」および法務省「相続登記の申請義務化について」(いずれも2026年8月時点)。相続登記は正当な理由がある場合など例外の扱いがあります。

相続で実家を得た人は、まず相続登記(3年以内)を済ませ、その後に自分が転居したら住所変更登記(2年以内)——という二段構えになりがちです。 相続の手続き自体でつまずいている場合は、 相続放棄の3か月はいつから?起算点と再転相続の数え方 で期限の考え方の基本も確認しておくと安心です。

費用と落とし穴|今月からやることリスト

このセクションの要点:手続き自体は難しくありませんが、複数物件・共有名義・売却直前は落とし穴があります。

住所変更登記は、相続登記に比べれば手続きの負担は軽めです。ただし、放置すると別の場面で困るのが本当の怖さです。 主な落とし穴とやることを整理します。

売却・融資で必ず要る
名義の住所が古いと決済前に慌てる

複数物件は全部対象
投資家は保有全件の住所を直す

共有名義は各自で
兄弟共有なら全員が手続き対象

期限は意外と短い
2年はすぐ経つ。後回し厳禁

特に大きいのは売却や融資の直前です。登記名義人の住所が古いままだと、 売買や抵当権設定の前に住所変更登記を求められ、決済スケジュールが押すことがあります。 「いざ売ろう」と思ったときに慌てないよう、早めに直しておくのが結局いちばん安くて速いのが実務感覚です。

共有名義の実家で「誰が何をするか」でつまずきやすい点は、 単独相続した実家の固定資産税、兄弟に分担義務はある?誰が払う でも触れています。親が元気なうちに名義まわりを整えておきたい方は、 実家の生前対策は何をする?親が元気なうちの準備リスト もあわせてご覧ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法務・登記上の助言ではありません。必要書類・手続きの詳細は法務局または司法書士にご確認ください。

次に読むべき記事

このセクションの要点:相続・売却・生前対策の順に読むと、名義まわりの手続きで迷わなくなります。

名義と登記の全体像をつかんだら、次は具体の判断です。関連記事を意思決定の順に並べます。

「売る」ではなく「貸して資産にする」道を検討したい方は、格安中古物件投資の基本を 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門 で解説しています。相続した実家を負動産で終わらせない選択肢として、あわせてご覧ください。

まとめ

2026年4月から、不動産の住所・氏名が変わったら2年以内に変更登記をする義務が始まります。 正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象です。

これから変わる人は変わった日から2年以内、すでに変わっている人は令和10年3月31日までが期限。 相続登記(3年以内・過料10万円)とは別枠なので、混同せず両方を管理しましょう。

手続き自体は難しくありません。今月のうちに登記簿と現況のズレを確認し、ズレがあれば早めに直す—— これが過料と売却直前のトラブルを防ぐいちばんの近道です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法務・登記上の助言ではありません。 実際の手続きにあたっては、必ず法務局や司法書士など専門家にご確認ください。