貯金箱と積み上げられた硬貨。税金や経費を差し引いた後に手元に残るお金のイメージ

「表面利回り20%」という数字を見て物件を購入したのに、いざ蓋を開けてみると 固定資産税や保険料でお金がどんどん出ていく——そんな不安を感じたことはありませんか。

不動産投資は、家賃収入が入ってくるだけでなく、毎年かかる税金や経費も必ずセットになります。 この記事では、築古戸建て投資で実際にかかる税金・経費の種類と目安、経費として 計上できるもの・できないもの、そして専門家と組むべきタイミングまで解説します。 格安中古物件投資そのものの基本を先に押さえたい方は、 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門 もあわせてご覧ください。

「儲かっても手元に残らない」という不安の正体

不動産投資の広告でよく目にする「表面利回り」は、年間家賃収入を物件価格で割っただけの シンプルな数字です。ここには、不動産を所有する上で必ずかかってくる税金や経費が 一切含まれていません。

固定資産税、火災保険料、突発的な修繕費、そして売却時の譲渡所得税—— これらの支出を正しく理解し、あらかじめ収支計画に織り込んでおかなければ、 「思ったより手元にお金が残らない」という残念な結果に終わってしまいます。 逆に言えば、税金・経費の全体像さえ把握しておけば、驚くような事態にはなりません。

保有中に毎年かかる税金・経費の内訳

築古戸建てを保有している間、毎年必ず発生する代表的な経費は次の4つです。

これらの経費は物件によって差はあるものの、年間家賃収入のおよそ15〜20%程度を 見積もっておくと、より現実的な収支シミュレーションができます。 経費を差し引いた「実質利回り」の具体的な計算式については、 築古戸建ての利回り計算方法|表面利回りと実質利回りの違い で詳しく解説しています。

図解:物件を保有する期間で税金・経費は変わる

購入時 仲介手数料 リフォーム費用 保有中(毎年) 固定資産税・都市計画税 火災保険料・修繕費 売却時 譲渡所得税 (所有期間で税率変動)
※税金・経費の発生タイミングを示すイメージ図であり、金額を保証するものではありません

固定資産税・都市計画税はいくらになる?

固定資産税は、土地や建物の公的な評価額にもとづいて算出されます。 私たちが扱うような格安中古物件は、建物の評価額そのものが低いため、 税額も年間数万円程度に収まるケースがほとんどです。

特に、再建築不可物件は評価額が著しく低く抑えられる傾向にあり、 固定資産税の負担が軽くなりやすいというメリットもあります。 再建築不可物件ならではの価格の仕組みについては、 再建築不可物件は買っても大丈夫?リスクと見極め方 で詳しく解説しています。

※固定資産税・都市計画税の実際の金額は、物件の評価額や自治体の税率によって異なります。 納税通知書に記載された金額を必ずご確認ください。

図解:物件の評価額と固定資産税負担のイメージ

評価額・税負担とも大きい 年間数万円程度 都心の新築マンション 格安中古物件(築古戸建て)
※建物評価額と固定資産税負担の一般的な傾向を示すイメージ図であり、実際の税額は物件ごとに異なります

経費として計上できるもの・できないもの

不動産投資では、経費として計上できる支出とできない支出を正しく区別しておくことも大切です。

区分 代表的な例
取得費(購入時)リフォーム費用、不動産会社への仲介手数料
必要経費(保有中)固定資産税・都市計画税、火災保険料、修繕費
譲渡費用(売却時)売却時の仲介手数料など

リフォームにかかった費用や仲介手数料などは、物件の取得費として、 将来売却する際の譲渡所得を計算する際に利益から差し引くことができます。 こうした経費の領収書は、必ず保管しておきましょう。

※経費として計上できる範囲や条件は個々の状況によって異なります。 実際の申告にあたっては、必ず税理士など専門家にご確認ください。

売却時にかかる税金にも要注意

保有中の経費に加えて、忘れてはならないのが物件を売却したときにかかる「譲渡所得税」です。 この税率は、物件を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかで、 約2倍も変わります。

区分 税率の内訳
短期譲渡所得(所有5年以下)所得税30%+住民税9%+復興特別所得税=合計 約39%
長期譲渡所得(所有5年超)所得税15%+住民税5%+復興特別所得税=合計 約20%

(出典:国税庁「短期譲渡所得の税額の計算」「長期譲渡所得の税額の計算」)

図解:「5年の壁」を境に譲渡所得税率は約2倍変わる

約39% 約20% 所有5年以下 (短期譲渡所得) 所有5年超 (長期譲渡所得)
出典:国税庁「短期譲渡所得の税額の計算」「長期譲渡所得の税額の計算」

例えば300万円の売却益が出た場合、所有期間5年以下なら約117万円、 5年を超えていれば約60万円の税金で済みます。その差は実に57万円。 この「5年の壁」を踏まえた判断基準や、売るか持ち続けるかの考え方については、 築古戸建ての出口戦略|売るか持ち続けるかの判断基準 で詳しく解説しています。

税理士と組むべきタイミング

税金の世界は非常に複雑で、毎年のように税制も変わっていきます。 私たち投資家がそのすべてを完璧に把握するのは現実的ではありませんし、むしろ非効率です。

専門家と組むタイミングの目安

1棟目を購入

確定申告の基本を確認

複数棟を保有

顧問税理士との契約を検討

規模が拡大

法人化のタイミングを相談

不動産所得が発生すると、原則として確定申告が必要になります。 申告の具体的な手続きや控除の要件は、収入や所有物件の状況によって大きく異なるため、 詳細はご自身で判断せず、必ず税務署や税理士にご確認ください。

物件が1棟、2棟と増えてきたら、不動産に強い税理士の先生と顧問契約を結び、 専門的なアドバイスを受けることをお勧めします。リフォームローンの活用や、 法人化するタイミングなど、お金に関する専門的な判断は、 顧問税理士と相談しながら進めるのが安心です。

※税金の計算方法や適用要件は個々の状況によって異なり、税制も毎年変わります。 実際の申告や法人化の判断にあたっては、必ず税理士など専門家にご確認ください。

まとめ

築古戸建て投資では、固定資産税・都市計画税・火災保険料といった毎年の経費に加えて、 売却時には譲渡所得税もかかります。しかし、格安中古物件は評価額そのものが低いため、 固定資産税は年間数万円程度に収まるケースがほとんどです。

大切なのは、税金・経費を「見えない不安」のままにせず、あらかじめ具体的な金額として 収支計画に織り込んでおくこと。そして、物件が増えてきたら早めに税理士など専門家と 連携することです。

経費を差し引いた実質利回りの計算方法については 築古戸建ての利回り計算方法|表面利回りと実質利回りの違いで、 売るか持ち続けるかの出口戦略と譲渡所得税の詳細については 築古戸建ての出口戦略|売るか持ち続けるかの判断基準で、 火災保険・地震保険の入り方と保険料の目安については 築古戸建ての火災保険・地震保険|入り方と保険料の目安で、 再建築不可物件と固定資産税の関係については 再建築不可物件は買っても大丈夫?リスクと見極め方で、 格安中古物件投資の基本については 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門 でも詳しく解説していますので、あわせてお読みください。