古い町並みと狭い路地。私道を通らないとたどり着けない再建築不可物件のイメージ

「再建築不可物件」という言葉を聞いて、あなたはどんなイメージを持つでしょうか。 多くの人は「将来性がない」「銀行融資もつかない」「災害で壊れたらおしまい」—— いつ価値がゼロになるか分からない'爆弾'のような物件だと考えます。

しかし、格安中古物件投資の世界では、この嫌われ者の物件こそが、 大きな利益の源泉になることがあります。 この記事では、再建築不可物件がなぜ安く買えるのか、 そして絶対に避けるべき'地雷'物件の見極め方まで、初心者向けに解説します。

再建築不可物件とは|なぜ「爆弾」と言われるのか

再建築不可物件とは、今建っている建物を取り壊してしまうと、 もう二度と新しい建物を建てることができない物件のことです。 多くの場合、敷地が公道に接しておらず、建築基準法上の「接道義務」を 満たしていないことが原因です。

一般的には「将来性がない」「銀行融資もつかない」「災害で壊れたらおしまい」と、 一般の投資家からは真っ先に選択肢から外される物件です。 もしあなたがこの物件をただの危険物としてしか見ていないなら、 それは非常にもったいないことかもしれません。

将来性がない
と一般には思われがち

銀行融資が
つきにくい

災害で壊れたら
それで終わり、という不安

これらの不安は決して的外れではありません。実際、何も知らずに手を出すと 大きな損をする物件もあります。しかし、格安中古物件投資の基本的な考え方を理解すると、 この物件の見え方は大きく変わります。まずは 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門 で全体像を確認しておくと、この先の話がより理解しやすくなります。

図解:なぜ再建築不可物件は安く買えるのか

再建築不可物件が儲かる理由は、シンプルです。 8割の投資家が、再建築不可物件への投資を避けるから、これに尽きます。

需要と供給の原理からいえば、人気が過熱する物件は価格が高騰し、 人気のない物件は価格が下がります。再建築不可物件は、 不動産投資家の目指す「長期の資産価値維持」の対極にある物件なので、買い手がつきません。 つまり、多くのライバルが自ら戦線を離脱してくれるおかげで、 競争率の極めて低い穏やかな市場で、じっくりと物件を吟味できるのです。

再建築不可物件が安く仕入れられる仕組み

1
8割の投資家が敬遠
2
競争率が極めて低い
3
売り手も買い手不足を承知
4
価格交渉がスムーズに

結果として、周辺の再建築可能な物件の相場と比較して、 半値あるいはそれ以下の価格で仕入れることも可能になります。

図解:周辺相場と再建築不可物件の価格差(イメージ)

相場100 半値以下 再建築可能な物件 (周辺相場) 再建築不可物件 (仕入れ価格の一例)
※あくまで一般的な傾向を示すイメージ図です。実際の価格差は物件・エリアによって大きく異なります。

この価格の安さは、2つの大きなメリットをもたらします。 1つは高い利回りが期待できること。もう1つ、意外と見落とされがちなのが 「固定資産税が安いこと」です。固定資産税は土地や建物の公的な評価額に基づいて 算出されますが、再建築不可物件は評価額が著しく低く抑えられているため、 毎年の税負担も軽くなる傾向にあります。長期保有する上で、じわじわと効いてくるメリットです。

「建て替えられない」のではなく「建て替える必要がない」

格安中古物件投資の目的は、新築の家を建てて販売することではありません。 あくまで、今ある建物を活用して、そこから家賃収入を得続けることです。

つまり、建物が存在し、人が住める状態を維持できる限り、 建て替えができなくても、事業計画にはさほど影響はないのです。 「建て替えられない」のではなく、「そもそも建て替える必要がない」—— このマインドセットを持つことで、一般の投資家が敬遠する再建築不可物件を 有効活用できるようになります。

とはいえ「買ってすぐ大地震で建物が倒壊したらどうするのか」という不安は当然あるでしょう。 築40年、50年の物件は、これまで何度も大きな地震を乗り越えて今そこに建ち続けている という実績を持っています。その上で必ず火災保険・地震保険に加入すれば、 万が一のことがあっても一定の保険金を受け取ることができます。 保険の仕組みについては 築古戸建ての火災保険・地震保険|入り方と保険料の目安 で詳しく解説しています。

図解:エリア別・利回り基準の目安

再建築不可というリスクを取る以上、それに見合うだけのリターンは確保する必要があります。 具体的な判断基準として、以下のような表面利回りの目安を持っておくと、 「安ければ何でもいい」という判断ミスを防げます。

エリア 表面利回りの目安
国道16号線より外側20%以上
国道16号線より内側の一都三県15%以上
東京都内10%以上

※上記はあくまで一つの判断基準の目安であり、物件ごとにケースバイケースです。 この基準を下回るなら、わざわざ再建築不可のリスクを取る必要はないという考え方です。

この高い利回りを確保することで、5年から10年という短い期間で、 投資した元本をすべて家賃収入で回収しきる計画を立てます。 そして元本を回収し終えた後は、購入した時と同じくらいの価格で、 次の再建築不可物件投資家に売却できれば御の字、という考え方です。 利回りの計算方法そのものについては 築古戸建ての利回り計算方法|表面利回りと実質利回りの違い で詳しく解説しています。

放置された古い戸建て。安易に手を出すと危険な地雷物件のイメージ

絶対に避けるべき2つの'地雷'|借地権と私道トラブル

ここまで再建築不可物件のメリットを紹介してきましたが、 「安ければ何でもいい」というわけでは決してありません。 再建築不可物件の中には、絶対に手を出してはいけない物件が紛れています。 特に注意すべきなのが、次の2つのケースです。

借地権の物件
毎月の地代が収支を圧迫

私道トラブルの物件
近隣との人間関係トラブル

1つ目は「借地権」の物件です。 土地の所有権が自分のものではなく、地主から土地を借りて、 その上に建物が建っている状態を指します。この場合、毎月地主に対して「地代」を 支払わなければならず、この地代が家賃収入から差し引かれるため、 収支計画を著しく悪化させます。よほど特殊なケースを除き、 借地権の再建築不可物件は避けるのが賢明です。

2つ目は「私道トラブル」を抱える物件です。 再建築不可となる理由の多くは、敷地が公道に接しておらず、 他人の私道を通らなければ自分の家にたどり着けない、というものです。 私道を通ること自体は珍しいことではありません。問題は、 その私道の所有者と近隣住民との間で人間関係のトラブルが発生しているケースです。 「この道は自分の土地だから通るな」といった深刻な揉め事を抱えている物件は、 たとえ価格が安くても絶対に手を出してはいけません。 建物の欠陥はリフォームで直せますが、こじれた人間関係を修復するのは不可能に近いからです。

これらの'地雷'さえ避けることができれば、再建築不可物件は危険なギャンブルではなく、 少ない投資で大きなリターンを狙える選択肢になり得ます。 物件を見に行く前に確認しておきたいチェックポイントは、 買ってはいけない築古戸建てチェックリスト|プロが見るポイント にもまとめていますので、あわせてご覧ください。 なお、再建築不可以外にも投資家がつまずきやすい失敗パターンについては ボロ戸建て投資の失敗例7選|築古戸建てで後悔しないための回避策 でも紹介しています。

まとめ

再建築不可物件は、一般には「将来性がない」「銀行融資がつかない」と敬遠される物件ですが、 その分、競争率が低く、周辺相場より大幅に安く仕入れられる可能性を持っています。 「建て替えられない」のではなく「建て替える必要がない」という視点を持てるかどうかが、 この物件と向き合う上での分かれ目です。

同じように「嫌われがちな物件」だからこそ安く仕入れられる例として、 事故物件(心理的瑕疵物件)もあります。告知義務のルールと収益化の考え方は 事故物件(心理的瑕疵物件)投資は買っていいのか でまとめていますので、あわせてご覧ください。

ただし、借地権私道トラブルの2つの"地雷"だけは、 価格がどれだけ安くても避けるべきという点を忘れないでください。 格安中古物件投資の基本的な考え方は 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門で、 物件の探し方は ボロ戸建ての探し方|格安中古物件はどこで見つかる?で、 あわせて確認しておくことをおすすめします。