契約書にサインする手元。購入前のチェックポイントを確認するイメージ

築古戸建て購入前の確認チェックリスト

「安かったから、契約書にサインした」—— 築古戸建て投資では、その一言が後悔の入り口になってしまうことがあります。

私自身、これまで100戸以上の物件に携わる中で、価格の安さだけを見て判断し、 痛い思いをしたことが何度もあります。

この記事では、契約前に必ず確認してほしい「買ってはいけない」を見抜くためのチェックポイントを、 6つに整理して解説します。物件を内見する前に、ぜひ一度目を通してみてください。

なお、格安中古物件投資そのものの基本や利回りの考え方を先に押さえたい方は、 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門 から読み進めていただくと、この記事の内容がより理解しやすくなります。

「買ってはいけない」を見抜く6つのチェックポイント

築古戸建てが「買ってはいけない」物件になるかどうかは、築年数や見た目の古さでは決まりません。 本当に見るべきなのは、次の6つのポイントです。

契約前に確認したい6つのチェックポイント

1借地権 2私道トラブル 3接道義務 4空き家期間 5評価額 6総額の安さ

ここから、一つずつ具体的に見ていきましょう。

チェック1:借地権の物件ではないか

再建築不可物件など、割安な築古戸建てを検討する際にまず確認したいのが、 その土地が「所有権」なのか「借地権」なのかです。

借地権の物件は、土地そのものを地主から借りている状態のため、 建物の購入価格が安くても、毎月の地代が発生し続けます。 収支計画を大きく悪化させる要因になるため、よほど特殊な事情がない限り、 借地権の物件は避けるのが賢明です。

チェック2:私道トラブルを抱えていないか

再建築不可物件の多くは、敷地が公道に接しておらず、他人が所有する私道を通らないと 自宅にたどり着けない、という事情を抱えています。

私道を通ること自体は珍しくありませんが、問題はその私道の所有者や近隣住民との間に 人間関係のトラブルが発生しているケースです。 建物の欠陥はリフォームで直せますが、こじれた人間関係の修復はほぼ不可能です。 価格がどれだけ安くても、私道トラブルのある物件には手を出すべきではありません。

借地権の物件
毎月の地代が発生し続ける

私道トラブルの物件
人間関係は修復がほぼ不可能

この2つは、私が実際に扱ってきた物件の中でも「絶対に避けるべき地雷」と位置づけているものです。 具体的な失敗エピソードは、 ボロ戸建て投資の失敗例7選|築古戸建てで後悔しないための回避策 でも紹介していますので、あわせてご覧ください。

チェック3:接道義務を満たしているか

建築基準法では、建物を建てる敷地は「幅員4m以上の道路に、2m以上接していなければならない」 という接道義務が定められています。この条件を満たさない土地では、 今ある建物を取り壊すと、二度と新しい建物を建てることができません。 これが「再建築不可物件」と呼ばれる理由です。

図解:建築基準法の接道義務

敷地 接道 2m以上 道路(幅員4m以上)
出典:建築基準法上の接道義務の考え方をもとに作成

再建築不可物件そのものは、危険なギャンブルではありません。 借地権や私道トラブルという2つの地雷さえ避ければ、少ない投資で高い利回りを狙える 選択肢になり得ます。エリアごとの利回りの目安については、 ボロ戸建ての探し方|格安中古物件はどこで見つかる? で詳しく解説しています。

チェック4:空き家期間は何年か

古い戸建て物件では、雨漏りやシロアリ被害、柱の腐食といった「隠れた欠陥」が 購入後に発覚することがあります。短い内見だけで完全に見抜くのは不可能ですが、 判断材料として有効なのが「空き家期間」です。

悪いケースの修繕費を投資額に上乗せしても、目標利回りを確保できるかどうかで 購入を判断するのが基本です。この「見積もった修繕費」をリフォーム予算にどう反映させるか、 どこまで直すのが正解かという判断基準については、 ボロ戸建てのリフォーム費用の考え方|どこまで直すのが正解か で詳しく解説しています。

ここでいう「目標利回り」を、表面利回りだけでなく経費まで差し引いた実質利回りで 確認する具体的な計算方法は、 築古戸建ての利回り計算方法|表面利回りと実質利回りの違い にまとめています。

チェック5:固定資産税評価額を確認したか

「購入価格が安いから、税金も安いはず」というのは誤解です。 固定資産税は、実際に支払った購入価格ではなく、土地や建物の公的な 固定資産税評価額にもとづいて算出されます。

私自身、わずか10円で仕入れた物件の固定資産税評価額の高さに驚かされた経験があります (詳しいエピソードは ボロ戸建て投資の失敗例7選 で紹介しています)。購入前に、役所の固定資産税課で評価額を確認しておきましょう。

チェック6:「総額の安さ」だけで判断していないか

複数の住戸をまとめて仕入れる一括物件は、単価がさらに安くなる魅力がある一方、 リフォームが必要な戸数や空室が同時に発生するリスクも比例して増えます。

「総額が安い」で判断するのではなく、一括物件であっても必ず1戸ごとに 個別の収支シミュレーションを行い、「最も状態の悪い1戸を基準にしても採算が取れるか」 で判断することが重要です。

チェックリスト早見表

ここまでの6つのチェックポイントを、一覧表にまとめました。

チェック項目 確認ポイント
1. 借地権登記簿・重要事項説明で所有権か借地権かを確認する
2. 私道トラブル私道所有者との関係や通行承諾の有無を仲介業者に確認する
3. 接道義務幅員4m以上の道路に2m以上接しているか確認する
4. 空き家期間1年未満は低リスク、5年超は修繕費を多めに見積もる
5. 評価額役所で固定資産税評価額を確認し、保有コストを試算する
6. 総額の安さ一括物件は1戸ごとに個別の収支シミュレーションを行う

「買ってはいけない」と「実は狙い目」の違い

ここまで読むと、「再建築不可物件や空き家期間の長い物件は、すべて避けるべきなのでは」 と感じるかもしれません。しかし、それは誤解です。

再建築不可物件が敬遠されがちな理由は、多くの投資家が目指す「長期保有」の 考え方とは相性が悪いからにすぎません。実際、8割ほどの投資家が 再建築不可物件への投資を避けるからこそ、競争率が低く、条件さえクリアすれば 割安に仕入れやすいという側面もあります。

つまり「買ってはいけない」物件と「実は狙い目」の物件を分けるのは、 築年数や価格の安さではなく、本記事で挙げた6つのチェックポイントを クリアしているかどうかです。物件の探し方や、業者から信頼されて 良い物件を紹介してもらうコツについては、 ボロ戸建ての探し方|格安中古物件はどこで見つかる? でも解説していますので、あわせてご覧ください。 チェックをクリアした物件でも、入居者が決まらなければ収益は生まれません。 客付けの具体的な戦略は、 築古戸建ての客付け・入居募集のコツ|ボロ屋でも入居は決まる で詳しく解説しています。

まとめ

築古戸建てで「買ってはいけない」物件を見抜くには、借地権・私道トラブル・ 接道義務・空き家期間・固定資産税評価額・総額の安さという6つのチェックポイントを、 契約前に一つずつ確認することが欠かせません。

リスクをゼロにすることはできませんが、具体的な金額や条件として 「想定内」に落とし込んでおけば、必要以上に恐れる必要はなくなります。 格安中古物件投資の基本や利回りの考え方については 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門で、 表面利回りと実質利回りの計算方法については 築古戸建ての利回り計算方法|表面利回りと実質利回りの違いで、 実際の失敗パターンについては ボロ戸建て投資の失敗例7選|築古戸建てで後悔しないための回避策 で、購入後のリフォーム費用の考え方については ボロ戸建てのリフォーム費用の考え方|どこまで直すのが正解かで、 少額の自己資金・現金購入から始めたい方は 少額×現金で始める戸建て投資|属性に左右されない理由で、 入居者を見つける客付けのコツについては 築古戸建ての客付け・入居募集のコツ|ボロ屋でも入居は決まるで、 売るか持ち続けるかの出口戦略については 築古戸建ての出口戦略|売るか持ち続けるかの判断基準 でも詳しく解説していますので、あわせてお読みください。