リフォーム減税の申告書類と電卓。所得税と固定資産税が減る仕組みを計算するイメージ

築古の家を直すとき、多くの人が「補助金」ばかり調べます。 でも、じつはもう一つの節約ルートが「リフォーム減税」です。

補助金が「工事費の一部が戻ってくる」制度なのに対し、減税はその年に払う税金そのものを軽くする仕組み。 耐震・省エネ・バリアフリーなどの改修をすると、所得税と固定資産税の両方が減る可能性があります。

この記事は、築古戸建てのリフォーム減税を ①何が減るか → ②自分は対象か → ③いくら減るか → ④いつ何を申告するか → ⑤補助金との違いと落とし穴 → ⑥次に読む記事 という意思決定の順に整理した「まとめ(ハブ)」です。数値はすべて国土交通省の一次情報にもとづきます(2026年10月時点)。

① 何が減るか:リフォーム減税は「所得税」と「固定資産税」の2本立て

このセクションの要点は「リフォーム減税は『所得税が戻る』制度と『固定資産税が減る』制度の2本立てで、対象工事も申告先も別」ということです。

国は、住宅の性能を上げるリフォームを後押しするため、税金を軽くする「リフォーム促進税制」を設けています (出典:国土交通省 住宅リフォームの減税制度・2026年10月時点)。 大きく分けると次の2つです。

対象になる工事は主に耐震・省エネ・バリアフリー・長期優良住宅化(+子育て/同居対応)です。 クロスの貼り替えや設備の見た目だけの工事は対象になりません。 「どこを直すと税が減るか」を意識して工事内容を組み立てるのがコツです。

② 自分は対象か:投資用の賃貸は「経費」、住む家は「減税」

このセクションの要点は「リフォーム減税は原則『自分や家族が住む住宅』が対象。人に貸す投資用物件は減税ではなく、必要経費・減価償却で回収するのが基本ルート」ということです。

ここは初心者がいちばん誤解するポイントなので、正直に書きます。 所得税のリフォーム控除や固定資産税の省エネ・バリアフリー減額は、多くが「自分が居住する住宅」であることを要件にしています。 つまり、買ってすぐ人に貸す投資用の築古戸建ては、この減税の対象にならないケースが多いのです。

では投資家は損なのかというと、そうではありません。賃貸に出す物件のリフォーム費用は、不動産所得の「必要経費」や「減価償却」として差し引けるのが基本です。 入口が「減税制度」ではなく「経費計上」に変わるだけで、税金を圧縮する道は用意されています。賃貸の申告実務は 相続した賃貸不動産の申告漏れは危険|追徴課税を防ぐ確定申告 も参考にしてください。

一方で、次のような人はリフォーム減税がそのまま効く可能性が高いケースです。

「自分は減税か経費か、どちらのルートか」を最初に見分けることが、いちばんの節税になります。 判断に迷う場合は、工事前に税理士や市区町村の窓口に確認してください。

築古戸建ての改修工事中の室内。耐震・断熱リフォームは減税や経費計上の対象になり得るイメージ

③ いくら減るか:所得税と固定資産税の早見表

このセクションの要点は「所得税は工事の種類ごとに最大控除額が決まっており、上限は62.5〜67.5万円クラス。固定資産税は翌年度分が工事に応じて1/2〜2/3減額される」ことです。

まず所得税の控除です。自分が住む住宅を対象工事でリフォームした場合、その年の所得税から一定額が控除されます。主な工事の最大控除額は次のとおりです (出典:国土交通省 住宅リフォームの減税制度・2026年10月時点)。

対象工事 所得税の最大控除額
耐震改修最大62.5万円
省エネ改修最大62.5万円(太陽光発電を設置する場合67.5万円)
バリアフリー改修最大60万円
長期優良住宅化改修最大62.5〜75万円(太陽光発電を設置する場合67.5〜80万円)

次に固定資産税の減額です。対象工事をすると、工事の翌年度分の固定資産税(家屋分)が次の割合だけ軽くなります。所得税とは別に、こちらも使えます。

対象工事 固定資産税(翌年度分)の減額
耐震改修1/2を減額
省エネ改修1/3を減額
バリアフリー改修1/3を減額
長期優良住宅化改修2/3を減額

ポイントは、所得税と固定資産税は別々の制度なので、要件を満たせば両方使えることです。 たとえば実家に住むために耐震改修をすれば、その年の所得税が最大62.5万円まで戻り、さらに翌年度の固定資産税(家屋分)が半分になる、という組み合わせも起こり得ます。 工事にいくらかかるかの相場観は ボロ戸建てのリフォーム費用はいくら?箇所別の相場と優先順位 で確認してください。

④ いつ何を申告するか:固定資産税は工事後3か月以内

このセクションの要点は「固定資産税の減額は『工事完了後3か月以内』に市区町村へ申告しないと受けられない。所得税は翌年の確定申告。知らずに期限を過ぎると税は減らない」ことです。

減税は「工事をすれば自動で安くなる」ものではありません。自分で申告して初めて受けられます。しかも申告先とタイミングが2つに分かれます。

リフォーム減税を受ける流れ

1
対象工事で
見積・契約
2
工事完了・
証明書を取得
3
固定資産税は
3か月以内に申告
4
所得税は翌年の
確定申告

いちばんの落とし穴が、固定資産税の「工事後3か月以内」という短い期限です。 工事が終わってひと息ついているうちに過ぎてしまいがちなので、工事の契約前から「証明書は誰が出すか・いつ市役所へ出すか」を段取りしておくのが安全です。

なお、制度の適用期限は次のとおりです(2026年10月時点)。

※控除額・減額割合・要件・期限は年度の税制改正で変わります。工事の種類・床面積・費用・所得などの細かい要件は制度ごとに異なり、対象外になるケースもあります。本記事は国土交通省の公表資料にもとづく2026年10月時点の概要です。実際に利用する際は、必ず市区町村・税務署・税理士で最新の要件をご確認ください。

⑤ 補助金との違いと落とし穴

このセクションの要点は「補助金は『工事費が戻る』、減税は『税金が減る』。両方を併用できる場合もあるが、補助金で戻った分は減税の対象費用から差し引くのが基本」ということです。

築古のリフォームでは、補助金と減税をつい混同しがちです。役割はまったく別物です。

比べる点 補助金/減税
効き方補助金=工事費の一部が戻る/減税=払う税金が減る
申請先補助金=登録事業者経由/減税=市区町村・税務署に自分で
投資用補助金=賃貸も対象になり得る/減税=原則は自分が住む住宅

注意したいのは、補助金をもらった工事で減税も使うとき、補助金で戻った金額は減税の計算対象から差し引くのが原則という点です。 「補助金100万円+減税もフル満額」と単純合算はできないと考えておきましょう。二重取りにならないよう、金額は必ず税理士や窓口で確認してください。

補助金そのものの探し方・使い方は 築古戸建てのリフォーム補助金2026まとめ|窓リノベ最大100万・目的別、 国と自治体を組み合わせる探し方は 空き家の改修補助金はどう探す?貸すなら自治体×国で最大化 にまとめています。減税と合わせて「使える制度を全部拾う」意識が、築古の総コストを下げます。

そして忘れてはいけないのが、減税・補助金はあくまで「出たら得」のボーナスだということ。 これらを前提に高値で仕入れると、対象外だった瞬間に収支が崩れます。制度ゼロ前提でも回る価格で買うのが鉄則です。利回りの正しい計算は ボロ戸建て投資の利回り計算|表面・実質の違いと落とし穴 で確認してください。

⑥ 次に読むべき記事

リフォーム減税は「①所得税と固定資産税の2本立てを理解 → ②減税か経費か見分ける → ③金額を試算 → ④固定資産税は工事後3か月以内に申告」の順で進めれば取りこぼしを防げます。 近いテーマの記事から読んでみてください。

まとめ

築古のリフォーム減税は、所得税(最大62.5〜67.5万円クラス)と固定資産税(翌年度分が1/2〜2/3減額)の2本立て。 耐震・省エネ・バリアフリー・長期優良化の工事が対象で、要件を満たせば両方使えます(2026年10月時点)。

ポイントは3つ。①自分は減税か経費かを見分ける → ②固定資産税は工事後3か月以内に申告 → ③補助金と減税はゼロ前提で収支を組む。 制度を上手に拾えば、直して住む・直して貸すコストは確実に下げられます。動ける今のうちに、工事の前から段取りしておきましょう。