築古戸建て投資でいちばん安く買えるのは、 昭和の古い木造戸建てです。 利回りも取りやすい一方で、初心者が見落としがちなのが「耐震」の問題です。
国土交通省は2026年8月に令和8年度の住宅・建築物の耐震改修の支援策を公表し、 旧耐震の木造住宅の耐震改修に対する補助が改めて整理されました (出典:国土交通省 住宅・建築物の耐震改修の支援策(令和8年度)・2026年8月時点)。 安い物件ほど古く、耐震を避けて通れないのが築古投資の現実です。
この記事は、築古戸建ての耐震を ①今なぜ注目か → ②自分の物件は対象か → ③何をどの順でやるか → ④費用と補助金・落とし穴という意思決定の順にまとめたハブ記事です。 個別の詳しい解説は、それぞれの関連記事へリンクしていきます。
目次
① 築古戸建ての耐震が今あらためて注目される理由
このセクションの要点は「安い築古ほど旧耐震で、地震リスクと補助金の両方が投資判断に直結する」ということです。
築古戸建て投資は、価格が安いぶん利回りを取りやすいのが魅力です。 ただし価格が安い物件は、そのぶん建った年が古い傾向があり、 その多くが「旧耐震」と呼ばれる古い耐震基準で建てられています。
国土交通省が2026年8月に公表した令和8年度の耐震改修の支援策では、 木造戸建ての耐震改修について、住宅の耐震化を国と地方であわせて23%支援する枠組みや、 工事費の補助対象となる限度額の目安が示されています (出典:国土交通省 住宅・建築物の耐震改修の支援策(令和8年度)・2026年8月時点)。 制度は年度ごとに更新されるため、毎年この時期に見直しておくと安心です。
つまり耐震は「怖いから避けるもの」ではなく、 見極めて、必要なら補助金を使って直し、収支に織り込むものです。 築古投資全体の考え方は 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門 でも解説しています。
② 自分の物件は対象か:旧耐震・新耐震の見極め方
このセクションの要点は「築年数ではなく“いつの基準で建ったか”で耐震の扱いが変わる」ということです。
耐震基準は1981年(昭和56年)6月1日に大きく変わりました。 それより前の昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた建物が「旧耐震」、 それ以降が「新耐震」と呼ばれます。まずは狙っている物件がどちらかを確認しましょう。
| 区分 | 見極めのポイント |
|---|---|
| 旧耐震(昭和56年5月以前) | 耐震性が不足していることがある。診断・補強や補助金の検討が必要になりやすい |
| 新耐震(昭和56年6月以降) | 現行に近い基準。ただし維持状態やシロアリ・腐朽で弱っている場合はある |
| 2000年6月以降 | 木造の接合部などの基準がさらに強化された。中古でも比較的安心度が高い |
注意したいのは、「築年数」ではなく「建築確認を受けた時期」で判断する点です。 登記や建築確認の日付、検査済証の有無を売主・仲介に確認しましょう。 旧耐震だからといって一律に「買ってはいけない」わけではなく、 直せる物件か・補助が使えるかを見極めることが大切です。
見極めの基本は、買う前のチェックが9割です。 現地で見るべきポイントは 買ってはいけないボロ戸建ての特徴|内見チェックリスト に、建て替えができない物件の注意点は 再建築不可物件のリスクと見極め方|借地権・私道に注意 にまとめています。再建築不可の物件は「補強して使い続ける」前提になるため、耐震の重要度がさらに上がります。
③ 何を、どの順でやるか(診断→補強設計→工事)
このセクションの要点は「いきなり工事を頼まず、診断→設計→工事の順で進めるのが失敗しないコツ」ということです。
旧耐震かもしれない物件でも、いきなり工務店に「耐震補強して」と頼むのは危険です。 どこがどれだけ弱いのかを調べずに工事をすると、必要ない場所にお金をかけたり、 補助金の対象から外れたりします。基本は次の3ステップです。
耐震化の基本ステップ
診断
設計
工事
で費用を圧縮
ステップ1:耐震診断で「どれだけ弱いか」を数値化する
まず行うのが耐震診断です。建物の強さを数値(Is値など)で評価し、 どの程度の補強が必要かを把握します。多くの自治体が診断費用の補助を用意しており、 補助金を使う場合はこの診断結果が申請の前提になります。着工後の申請は原則認められないため、順番が重要です。
ステップ2:補強設計で「どこを直すか」を決める
診断で弱点が分かったら、どこをどう補強するかを設計します。 壁の量やバランス、接合部、基礎などが対象です。 過不足なく直すことで、費用をムダにせず必要な安全性を確保できます。
ステップ3:補強工事+補助金の申請
設計に沿って補強工事を行います。 工事費については、令和8年度の支援策で木造住宅の耐震改修工事費の 補助対象の限度額(1㎡あたりの目安)が示されています。 具体的には、上部構造評点(Is値に相当する指標)が0.3未満相当で1㎡あたり62,700円、 それ以外で56,900円などが目安とされています (出典:国土交通省 住宅・建築物の耐震改修の支援策(令和8年度)・2026年8月時点)。 補助の金額・要件・締切は自治体ごとに異なるため、必ず物件所在地の役所で最新情報を確認してください。
④ 費用と補助金、見落としがちな落とし穴
このセクションの要点は「耐震費用は“買う前に”収支へ織り込む。地盤と申請順序が落とし穴」ということです。
耐震補強の費用は、建物の状態・規模・工法で大きく変わります。 だからこそ、買ってから考えるのではなく、買う前に見積もりの当たりをつけて収支に入れておくことが失敗を防ぎます。 利回りの計算に補強費用を織り込む方法は ボロ戸建ての利回り計算|表面利回りと実質利回りの違い、 リフォーム費用全体の考え方は ボロ戸建てのリフォーム費用はいくら?箇所別の目安と抑え方 を参考にしてください。
- 耐震診断・補強設計の費用:工事の前段でかかる。自治体の補助対象になることが多い
- 補強工事費:壁・接合部・基礎など。令和8年度の限度額が補助対象の目安になる
- 地盤・立地のリスク:軟弱地盤や造成地は、建物を直しても揺れやすさが残る場合がある
- 申請の順序:多くの補助金は「着工前の申請・診断が前提」。先に工事すると対象外になりやすい
とくに見落としがちなのが地盤です。建物本体をいくら補強しても、 地盤が弱ければ揺れやすさや不同沈下のリスクは残ります。 ハザードマップや古地図で、過去に川・池・田だった土地でないかを確認しておくと安心です。 「安いから」だけで飛びつく怖さは ボロ戸建て投資の失敗例7つ|初心者がハマる落とし穴 にもまとめています。
なお、診断の結果あまりに補強費がかさむ場合は、 「直さずに解体・更地化して活かす」判断が正解になることもあります。 解体費用と補助金の考え方は 空き家の解体費用相場|補助金と「解体しない」という選択肢 を参照してください。
※本記事の制度・限度額は国土交通省の公表情報(令和8年度・2026年8月時点)を引用しています。 補助金の金額・要件・締切・対象は年度や自治体で異なり、変更されることがあります。 個別の物件の判断は、必ず物件所在地の自治体の最新情報を確認し、 耐震診断士・建築士・工務店など専門家に相談のうえで行ってください。
次に読むべき記事(築古投資のハブ)
築古の耐震は「見極め → 診断 → 補強 → 収支に織り込む」の順に進めるのが基本です。 自分の状況に近いものから読み進めてみてください。
- 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門(まず全体像)
- 買ってはいけないボロ戸建ての特徴|内見チェックリスト(買う前の見極め)
- 再建築不可物件のリスクと見極め方|借地権・私道に注意(建て替え不可の注意点)
- ボロ戸建てのリフォーム費用はいくら?箇所別の目安と抑え方(費用の全体像)
- ボロ戸建ての利回り計算|表面利回りと実質利回りの違い(収支に織り込む)
まとめ
築古戸建ての耐震は、安さの裏側にある大事な論点です。 ①旧耐震かを見極め → ②耐震診断 → ③必要な補強と補助金 → ④収支に織り込むの順で進めれば、 過度に怖がる必要はありません。
古くて弱い家も、正しく診て直せば 安全に人が住み、家賃を生む資産に変わります。 「安いから危ない」ではなく「安いからこそ丁寧に見極める」ことを、ボロリッチはお伝えしています。