ボロリッチが実際に扱った築古戸建ての外観。戸建て投資で狙う利回りの目安を考えるイメージ

「戸建て投資って、利回りは何%を狙えばいいの?」—— これから築古戸建てを買おうとする方から、いちばん多く受ける質問のひとつです。 区分マンションや一棟アパートと比べて、戸建ては利回りの考え方が少し違います。

先に結論を言うと、大切なのは「◯%」という数字を暗記することではありません。 目安を「この物件をいくらまでで買っていいか」を逆算するための 判断軸として使えるようになることです。

この記事では、戸建て・区分・アパートの利回りの目安の違いを整理したうえで、 初心者の方が「自分の狙う利回り」を決め、物件価格を逆算するまでの考え方を解説します。 投資そのものの基本を先に押さえたい方は 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門 もあわせてご覧ください。

利回りの目安を「暗記」してはいけない理由

要点:利回りの数字は物件の条件で大きく動くため、「何%なら買い」という固定の正解はありません。

「戸建ては15%あれば買い」といった数字を鵜呑みにするのは危険です。 同じ利回りでも、立地・築年数・再建築の可否・修繕の必要度によって、 その物件のリスクはまったく違うからです。

たとえば駅近で貸しやすい戸建ての利回り12%と、 再建築不可でボロボロの物件の利回り12%では、意味がまるで異なります。 後者は「12%でも見送るべき」ケースもあれば、「リスクを織り込めば妙味あり」というケースもあります。

だからこそ、目安は「その物件のリスクに見合ったリターンが取れているか」を測るモノサシ として使います。数字を暗記するのではなく、判断軸として身につけるのが正解です。

物件タイプ別・利回りの目安の違い(区分・アパート・戸建て)

要点:一般に、区分マンションは低め、戸建ては高めに利回りが出やすい傾向があります。

利回りの水準は、物件タイプによって出やすいレンジが異なります。 一般に不動産投資メディアなどで紹介される「表面利回り」の目安を、ざっくり整理すると次のようになります。

物件タイプ 表面利回りの傾向 特徴
区分マンション低め都心・新築ほど低い。流動性は高い
一棟アパート中間戸数で分散。融資・管理の規模大
中古戸建て高め総投資額が小さく数字が出やすい

※ここでの傾向は一般に不動産投資メディア等で紹介される目安を整理したもので、 エリア・築年・時期によって変わります。特定の利回りや将来の収益を保証するものではありません。

図解:物件タイプ別・表面利回りが出やすいレンジのイメージ

低め 中間 高め 区分マンション 一棟アパート 中古戸建て ※あくまで傾向のイメージ。実際の数値は物件ごとに異なります
出典:本記事オリジナル作図(一般的な傾向を整理したもの)

ポイントは、「利回りが高い=良い投資」ではないということ。 戸建ての利回りが高めに出やすいのは、それだけ手間やリスク(空室・修繕・流動性の低さ)を 投資家が引き受けているから、という側面もあります。高い利回りは、その裏返しなのです。

なぜ戸建ては利回りを高めに狙えるのか

要点:戸建ては「総投資額が小さい」ため、同じ家賃でも利回りの数字が大きくなりやすいのです。

戸建て、とくに築古のボロ戸建てで利回りが高めに出やすい最大の理由は、 分母である総投資額そのものが小さいことです。 利回りは「年間家賃収入 ÷ 総投資額」なので、投資額が小さいほど数字は大きくなります。

たとえば数百万円で買った物件を最低限直して貸せば、 月数万円の家賃でも利回りは二桁になり得ます。 この「少ない自己資金で高い利回りを狙える」という点が、 属性(年収や勤務先)に左右されにくい戸建て投資の強みです (少額×現金で始める戸建て投資|属性に左右されない理由)。

一方で、戸建てには「1戸空いたら家賃がゼロになる」という弱点もあります。 一棟アパートなら1室空いても他の家賃でカバーできますが、戸建ては入居者が1組だけ。 高い利回りは、この空室リスクを引き受ける対価でもある、と理解しておきましょう。

目安は「表面」ではなく「実質」で考える

要点:広告の「表面利回り」には経費が含まれません。目安は実質利回りで見るのが基本です。

利回りには「表面利回り」と「実質利回り」の2つがあります。 広告に載っているのはたいてい経費を引く前の表面利回りで、 固定資産税・火災保険・修繕費・空室損失などを引いた実質利回りは、 表面よりも数ポイント下がるのが普通です。

つまり「表面20%だから安心」ではなく、 経費を引いた後でも狙う利回りを確保できるかを確認する必要があります。 表面と実質の具体的な計算式や、経費をどれくらい見込むかは 築古戸建ての利回り計算方法|表面利回りと実質利回りの違い で数式とモデルケースを使って詳しく解説しています。

※目安を判断軸として使うときは、必ず「実質ベース」でそろえて比較してください。 表面同士・実質同士で比べないと、物件の良し悪しを取り違えます。

目安から「買っていい価格」を逆算する

要点:狙う利回りと想定家賃が決まれば、「買っていい総投資額」は割り算で逆算できます。

判断軸としての利回りが本当に役立つのは、この「逆算」です。 物件価格から利回りを計算するだけでなく、 「狙う利回り」と「その地域で取れそうな家賃」から、買っていい価格を割り出すのです。 式はシンプルです。

買っていい総投資額 = 年間家賃収入 ÷ 狙う利回り

利回りから「買っていい価格」を逆算する手順(例)

① 想定家賃を置く

月5万円=年60万円

② 狙う利回りを決める

実質15%で設定

③ 逆算する

60万円 ÷ 15% = 400万円まで

この例なら、「物件価格+リフォーム費用の合計を400万円以内に収めれば、 実質15%が狙える」という上限が見えます。 内見や指値(値引き交渉)の前にこの上限を持っておくと、 「割高な物件を勢いで買ってしまう」失敗を防げます

逆算した総投資額のうち、リフォームにいくらかけられるかは物件によって変わります。 「どこまで直すか」の考え方は ボロ戸建てのリフォーム費用の考え方|どこまで直すのが正解か を、直さず貸して利回りを守る発想は ボロ戸建てを直さず貸す|現状渡し・DIY可という逆転戦略 をご覧ください。

利回りの目安に潜む3つの落とし穴

要点:想定家賃・修繕・出口の3点を甘く見ると、計算上の利回りは簡単に崩れます。

逆算がうまくいくかどうかは、前提の置き方しだいです。 初心者がつまずきやすい3つの落とし穴を押さえておきましょう。

① 想定家賃が甘い
高めに置くと利回りは絵に描いた餅に

② 修繕費の見落とし
隠れた欠陥で総投資額が膨らむ

③ 出口が見えない
再建築不可は売却が難しいことも

特に②の修繕費は要注意です。 短い内見では見抜けない雨漏り・シロアリ・給排水などの問題があると、 想定リフォーム費用を超えて総投資額が膨らみ、逆算した利回りは一気に崩れます。 契約前に確認すべき点は 買ってはいけない築古戸建てチェックリスト|プロが見るポイント にまとめています。

③の出口も忘れがちです。高利回りでも、再建築不可などで将来売りにくい物件は、 持ち続ける前提で利回りを見る必要があります。 売るか持ち続けるかの判断は 築古戸建ての出口戦略|売るか持ち続けるかの判断基準 を、利回り計算を誤った具体的な失敗例は ボロ戸建て投資の失敗例7選|築古戸建てで後悔しないための回避策 をあわせてご覧ください。

まとめ

戸建て投資の利回りの目安は、「◯%なら買い」という暗記の数字ではなく、 物件のリスクに見合うリターンかを測る判断軸として使うのが正解です。 一般に区分マンションは低め、戸建ては高めに利回りが出やすい傾向がありますが、 高い利回りは空室・修繕・流動性のリスクを引き受ける対価でもあります。

実務では、狙う利回りと想定家賃から「買っていい総投資額」を逆算し、 その上限内に物件価格+リフォーム費用を収める——この順番で考えると、 割高な物件を勢いで買う失敗を防げます。必ず表面ではなく実質利回りでそろえて比較しましょう。

利回りの具体的な計算方法は 築古戸建ての利回り計算方法|表面利回りと実質利回りの違いで、 少額・現金で始める考え方は 少額×現金で始める戸建て投資|属性に左右されない理由で、 投資全体の入口は 空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門 で詳しく解説しています。あわせてお読みください。