「この築古戸建て、いくらまで値引き(指値)できるんだろう?」——ボロ戸建て投資でいちばん多い悩みが、この 指値の相場です。
結論から言うと、指値に決まった『相場のパーセント』はありません。 「2割引きが相場」「端数カットが定番」といった話は目安にすぎず、それだけを根拠に指値を入れても通りません。
大事なのは、売出価格(売主の希望値)ではなく、近くで実際に売れた成約価格を基準にすることです。 この記事は、無料の公的ツールで成約価格を調べ、根拠のある指値を入れるまでの手順をまとめた保存版です。
目次
結論:指値の基準は「成約価格」で決める
このセクションの要点:値引き率の相場を探すより、「実際に売れた値段」から逆算するのが正しい順序です。
先に結論を3点でまとめます。
- 売出価格は売主の希望値。ここから何割という発想では、割高な物件ほど「大きく値引けた気」になるだけで、買値が適正かは判断できない
- 買っていい値段の基準は成約価格(実際に売れた値段)。これはレインズ・マーケット・インフォメーションと国交省の不動産情報ライブラリで誰でも無料で調べられる(出典:レインズ・マーケット・インフォメーション/国土交通省 不動産情報ライブラリ・2026年9月時点)
- 指値は「相場−自分が直す費用−利益」から逆算する。値引き率ではなく、出口(家賃や再販)から見て買える上限を先に決めるのが失敗しないやり方
「2割引けたから得をした」ではなく、「この立地・広さなら◯◯万円で売れているから、この値段までなら買える」—— この順番で考えられるようになると、指値の交渉は一気にラクになります。
※本記事は一般的な情報提供であり、特定物件の値付けや投資成果を保証するものではありません。価格は物件・時期・地域で大きく変わります。
なぜ売出価格を信じてはいけないのか
このセクションの要点:ポータルサイトに出ている価格は「売主が売りたい値段」で、売れる値段とは別物です。
ポータルサイトに並ぶ価格は、あくまで売主が『この値段で売れたら嬉しい』と付けた希望値です。 とくに相続で引き継いだ実家や、長く売れ残っている築古戸建ては、相場より高めのまま放置されていることが珍しくありません。
売出価格を基準に「2割引き」を狙っても、元の値付けが相場より3割高ければ、2割引いてもまだ割高です。 逆に、はじめから相場に近い適正価格の物件に大きな指値を入れても、まず通りません。
だからこそ、判断の土台を売出価格から成約価格へ置き換える必要があります。 「近くの似た家がいくらで売れているか」を先に知れば、その物件の売出価格が高いのか安いのかが初めて見えてきます。
成約価格を無料で調べる2つのツール
このセクションの要点:実際に売れた値段は、公的な無料ツールで個人でも調べられます。
成約価格を調べる代表的な無料ツールは次の2つです。どちらも会員登録なしで使えます (出典:レインズ・マーケット・インフォメーション/国土交通省 不動産情報ライブラリ・2026年9月時点)。
| ツール | 分かること | 使いどころ |
|---|---|---|
| レインズ・マーケット・インフォメーション | 直近の成約価格の傾向(エリア・面積・築年ごと) | 「今いくらで売れているか」の相場感をつかむ |
| 国交省 不動産情報ライブラリ | 実際の取引価格情報やハザード・地価などの地図情報 | 取引事例と立地リスクを重ねて確認する |
※いずれも地域や条件でデータ量に差があり、件数が少ないエリアもあります。プライバシー配慮で価格は一定の幅に加工されている点にも注意(2026年9月時点)。
使い方はシンプルです。「同じ市区町村・戸建て・似た面積・近い築年数」で絞り込み、 売れている値段のだいたいの中心と幅をつかみます。1件の高値・安値に引っ張られず、複数の事例を見るのがコツです。
ここで得た成約価格の相場が、指値の『天井』になります。狙う物件の売出価格がこの天井より高ければ、 その差額こそが交渉の余地。逆に相場より安く出ていれば、無理に叩かずスピード勝負で押さえる判断もできます。
根拠のある指値を決める4ステップ
このセクションの要点:相場 → 修繕費 → 利益 の順に引き算すれば、入れるべき指値額が自然に出ます。
値引き率から入るのではなく、出口(売れる値段・取れる家賃)から逆算して買える上限を決めます。
図解:指値を逆算で決める4ステップ
- ①相場を知る:成約価格ツールで、同じエリア・似た広さ・近い築年の「売れている値段」を把握する
- ②修繕費を見積もる:内見時に、屋根・外壁・水回り・シロアリ・雨漏りなど費用の大きい箇所をチェックし、直す費用をざっくり出す
- ③欲しい利益・利回りを引く:貸すなら目標利回り、再販なら欲しい利益を差し引く
- ④指値額を決める:「売れる値段−修繕費−利益=買える上限」。この上限が売出価格より低ければ、その差が指値の根拠になる
この計算をすると、『2割引けたら買う』ではなく『◯◯万円までなら買える』という自分の基準ができます。 修繕費と利回りの具体的な計算は ボロ戸建て投資の利回り計算|表面・実質の違いと最低ライン と 戸建て投資の利回り目安は何%?地方・築古のリアルな基準 で詳しく解説しています。
指値が通りやすい物件・通りにくい物件
このセクションの要点:同じ指値額でも、売主の事情と物件の状態で通りやすさは大きく変わります。
指値は「額」だけでなく「相手の事情」で決まります。通りやすい・通りにくい物件の特徴を整理します。
通りやすい:長期売れ残り
掲載が長い・値下げ履歴あり
通りやすい:早く手放したい
相続・遠方・維持費に困る売主
通りにくい:適正・割安
相場どおりや売り出したて
通りにくい:人気立地
他に買い手がいる物件
指値が通りやすいのは、掲載期間が長く、すでに値下げ履歴がある物件や、 相続・遠方・維持費で早く手放したい売主のケースです。 こうした物件では、成約価格を根拠に『相場から見てこの値段が妥当』と丁寧に伝えると、売主も納得しやすくなります。
逆に、売り出したての物件や相場より割安な物件に大きな指値を入れると、印象を悪くして他の買い手に先を越されるだけです。 「叩けるだけ叩く」より、根拠を添えて一発で決める方が、結局は良い物件を手に入れられます。
やりがちな失敗と注意点
このセクションの要点:指値そのものより、指値のために内見・調査を省くことが最大のリスクです。
安く買うことばかりに気を取られると、初心者ほど次の落とし穴にはまります。
- 修繕費を見ずに指値だけ入れる:安く買えても、屋根・基礎・シロアリで想定外の出費が出れば逆に高い買い物になる
- 相場を1件だけで判断する:成約事例は複数見て「中心と幅」で捉える。1件の安値・高値に引っ張られない
- 『安い理由』を確かめない:再建築不可・接道・立地・災害リスクなど、価格が安いのには理由があることが多い
- 指値ありきで買ってはいけない物件を買う:値引き額の大きさで判断せず、そもそも買っていい物件かを先に見極める
とくに「安い理由」の見極めは、指値の相場を知ること以上に大切です。買ってはいけない物件の見分け方は 買ってはいけないボロ戸建ての特徴チェックリスト で、失敗の実例は ボロ戸建て投資の失敗例と回避策|初心者がやりがちな落とし穴 でまとめています。指値を入れる前に必ず目を通してください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の投資判断・価格査定を保証するものではありません。取引にあたっては宅地建物取引業者や専門家にご確認ください。
次に読むべき記事
このセクションの要点:指値は「探す→見極める→計算する」の流れの一部です。前後の記事とあわせて読むと精度が上がります。
指値だけで完結する話ではありません。物件の仕入れは、次の関連記事を流れの順に読むと全体像がつかめます。
- まず全体像を:空き家問題を「資産」に変える。格安中古物件投資入門
- 物件の探し方:ボロ戸建ての探し方|掘り出し物に出会うための実践ルート
- 買ってはいけない物件:買ってはいけないボロ戸建ての特徴チェックリスト
- 利回りの計算:ボロ戸建て投資の利回り計算|表面・実質の違いと最低ライン
- 仕入れ環境の今:空き家900万戸時代の仕入れ|物件が増えても安く買えるとは限らない
まとめ
築古戸建ての指値に、決まった『相場のパーセント』はありません。 売出価格は売主の希望値にすぎず、値引き率を基準にしても買値が適正かは判断できません。
買っていい値段の基準は成約価格(実際に売れた値段)です。 レインズ・マーケット・インフォメーションや国交省の不動産情報ライブラリで無料で調べ、 相場−修繕費−利益で逆算すれば、根拠のある指値額が自然に出ます (レインズ・マーケット・インフォメーション/国土交通省 不動産情報ライブラリ・2026年9月時点)。
「叩けるだけ叩く」より、成約価格を根拠に一発で決める。 そして何より、そもそも買っていい物件かを先に見極める——これが失敗しない仕入れの順番です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の投資判断や価格査定を保証するものではありません。 価格は物件・時期・地域で大きく変わります。取引にあたっては必ず宅地建物取引業者や専門家にご確認ください。