「うちの実家、そのうち特定空家に認定されるって本当?」——空き家を持つ人が最初に不安になるのが、この「認定」という言葉です。
でも、いちばん大事な問いは「誰が、どうやって決めるのか」です。ここを知らないまま「6倍になる」という結論だけが独り歩きすると、 いつ・何をすれば防げるのかが見えなくなります。
この記事は、特定空家・管理不全空家は誰が決めるのかを、 認定する人 → 手続きの流れ → 2つの区分の違い → 認定されると税はどうなるか → される前にやることの順に、 国土交通省の一次情報つきで初心者向けに整理します。
目次
結論:認定は「市町村長」が決める
このセクションの要点:認定するのは国ではなく、物件がある市区町村。しかも段階を踏むので、途中で直せば止められます。
先に結論を3点でまとめます。
- 誰が:認定するのは物件所在地の市町村長(市区町村)。国や税務署ではありません。専門家の意見を聞く審議会・協議会を設けている自治体もあります
- どうやって:情報収集 → 調査 → 該当するか判断 → 助言・指導→勧告という段階を踏む。いきなり認定・勧告は来ません
- だから:認定は放置の結果であって運ではない。助言・指導の段階で改善すれば、勧告も税の6倍化も防げます
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務・法務判断ではありません。認定の可否や手続きは、物件所在地の市区町村や専門家にご確認ください。
誰が決めるのか(判断主体)
このセクションの要点:判断するのは市町村長。国交省はルール(ガイドライン)を示すだけで、個別の認定はしません。
特定空家・管理不全空家に該当するかを判断し、措置を進めるのは、その空き家がある市町村の長(市区町村長)です。 根拠は空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)で、認定や措置の実務はすべて自治体が担います (出典:国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報・2026年9月時点)。
よくある誤解を先に正しておきます。
- 国が決めるのではない:国土交通省は判断の目安となるガイドライン(指針)を示すだけで、個別の空き家を認定するのは市町村です
- 税務署でもない:認定はまちづくり・住宅を担当する部署が中心。固定資産税を扱う税務部門とは別の窓口です
- 近所の通報だけでは決まらない:苦情や通報は調査のきっかけにはなりますが、認定は市町村が調査したうえで判断します
多くの自治体では、判断の公平性を保つため、建築・法律・不動産などの専門家からなる審議会・協議会の意見を踏まえて決めています。 「担当者の気分で決まる」ものではなく、基準にそって組織的に判断されると理解しておくと安心です。
なお、市町村は所有者を突き止めるために、固定資産税の課税情報などを内部で活用できると法律(空家法第10条)で定められています (出典:国土交通省 空家法関連情報・2026年9月時点)。 「遠方だから気づかれない」とは限らない、という点は押さえておきましょう。遠方物件の管理は 遠方の空き家管理はどうする?放置リスクと費用相場まとめ で解説しています。
どんな手続きで決まるか(4段階)
このセクションの要点:認定は「情報収集→調査→判断→助言・指導/勧告」の順。各段階で改善のチャンスがあります。
認定はある日突然下されるものではありません。市町村は次の流れで段階的に進めます。
図解:特定空家・管理不全空家が決まるまで
各段階をもう少しかみ砕くと、次のとおりです。
- ①情報収集:近隣からの苦情・通報や、職員の巡回で市町村が空き家の存在を把握します。所有者の特定には課税情報なども使われます
- ②調査:まず外観の目視で状態を確認。必要に応じて敷地内・室内の調査(立入調査)に進むこともあります
- ③該当を判断:倒壊の危険・衛生上の問題・景観の悪化などの基準に照らして、特定空家等・管理不全空家等に当たるかを判断します
- ④助言・指導 → 勧告:該当すればまず改善を促す助言・指導。それでも直らないと勧告に進み、この勧告で住宅用地特例が外れます
重要なのは、立入調査の扱いです。特定空家等について立入調査をする場合、市町村は原則としてその5日前までに所有者へ通知しなければなりません (出典:国土交通省 空家法関連情報・2026年9月時点)。 裏を返せば、通知が届いた時点は「まだ助言・指導の前後」であることが多く、改善する時間が残っているということです。
特定空家と管理不全空家の違い
このセクションの要点:状態の深刻さで2区分。どちらも「勧告」で税優遇が外れますが、調査の権限などに差があります。
令和5年12月13日に施行された改正空家法で、従来の「特定空家」に加えて「管理不全空家」という区分が加わりました (出典:国土交通省 空家法関連情報・2026年9月時点)。 2つの違いを表で整理します。
| 区分 | 状態の目安 | 勧告されると |
|---|---|---|
| 管理不全空家 | 放置すれば特定空家になるおそれ(雑草・軽微な破損・景観悪化など) | 住宅用地特例が外れる |
| 特定空家 | 倒壊のおそれ・著しく衛生上有害・著しく景観を損なうなど深刻 | 住宅用地特例が外れる(最終的に命令・代執行も) |
改正前は「特定空家」まで悪化しないと特例は外れなかったのが、今はその一歩手前の「管理不全空家」でも、勧告されれば税優遇を失うようになりました。 つまり「まだ倒れそうじゃないから大丈夫」は通用しにくくなったのです。
認定後の調査の強さにも差があります。特定空家等については、法律にもとづく立入調査まで行えますが、 より軽い区分の管理不全空家等については、報告徴収や立入調査といった強い調査は予定されていません (出典:国土交通省 空家法関連情報・2026年9月時点)。 ただし、どちらも「勧告で特例が外れる」点は同じなので、区分の差より「勧告される前に動く」ことが大切です。
勧告から実際に税が上がるまでの時系列は 空き家の固定資産税はいつから6倍?勧告で住宅用地特例が外れる流れ で詳しく解説しています。放置を続けて特定空家のまま命令にも従わない場合の最終段階は 特定空家の行政代執行とは|費用は誰が負担・される前の対策 にまとめました。
認定されると税はどうなる?
このセクションの要点:認定そのものより「勧告」が税の引き金。勧告で住宅用地特例が外れ、翌年度から土地の税が上がります。
認定と税負担の関係で誤解が多いのが、「認定された瞬間に税が上がる」という思い込みです。実際の引き金は認定の先にある「勧告」です。
- 勧告で特例が外れる:管理不全空家・特定空家として勧告を受けると、その土地は住宅用地特例の対象から外れます
- 上がるのは翌年度から:固定資産税は毎年1月1日(賦課期日)の状態で決まるため、勧告後もその状態が続いて年をまたいで初めて翌年度分に反映されます
- どれだけ上がる:小規模住宅用地なら、土地の固定資産税は最大で約6倍に戻る計算(負担調整などで実額はケースにより異なります)
なぜ勧告で税が跳ね上がるのか——その正体である住宅用地特例の仕組みは 住宅用地特例とは|空き家で外れると固定資産税がいつ・いくら上がる で、外れる4パターンや実額の考え方まで整理しています。保有コスト全体を見たいときは 空き家を持ち続けると税金が上がる?6倍化と空き家税の総まとめ が参考になります。
投資家目線でいえば、この一連の流れは「放置し続けるほど保有コストが跳ね上がる」という圧力です。 同時に、耐えきれなくなった所有者が手放す仕入れ機会でもあります。安く買える理由の裏側として、認定・勧告の仕組みを知っておくと判断を誤りません。
される前にやること・確認先
このセクションの要点:認定は段階を踏む。だから「通知が来ていないか」「直せる状態か」の2点をまず確認すれば十分です。
- まず:空き家の今の状態を写真で確認する(雑草・破損・郵便物のあふれなど、外から放置が分かるか)
- 通知の有無を点検:市町村から助言・指導や立入調査の通知が届いていないか確認。届いていればまだ勧告前のことが多く、改善の余地があります
- 直せるうちに直す:草刈り・清掃・簡単な修繕で状態を改善すれば、勧告に進まず特例を維持できます
- 使い道を決める:持て余しているなら売る・貸すの方針を決める。直して貸せば、毎月の家賃を生む資産に変わることもあります
- 迷ったら:認定の可否や具体的な手続きは、物件所在地の市区町村(空き家・住宅担当課)に確認するのが確実です
「持ち続けて税金を払うより、直して貸したい」なら、格安中古物件を家賃収入に変える基本を 空き家投資の始め方|格安中古物件投資入門ガイド で解説しています。傷んだ空き家でも、直して貸せば毎月の家賃を生む資産に変わることがあります。
※制度の運用や手続きは自治体・年度により異なります。認定の可否や具体的な手続きは、必ず国交省の空家法関連情報や物件所在地の市区町村でご確認ください。
次に読むべき記事
このセクションの要点:「認定の仕組み→税の流れ→保有コスト→活用」の順に読むと、空き家をどうするかの地図が一枚にまとまります。
- 勧告で税が上がる流れ:空き家の固定資産税はいつから6倍?勧告で住宅用地特例が外れる流れ
- 6倍の正体(特例):住宅用地特例とは|空き家で外れると固定資産税がいつ・いくら上がる
- 放置の最終段階:特定空家の行政代執行とは|費用は誰が負担・される前の対策
- 保有コスト全体:空き家を持ち続けると税金が上がる?6倍化と空き家税の総まとめ
まとめ
特定空家・管理不全空家を決めるのは、物件所在地の市町村長です。国や税務署ではなく、 情報収集 → 調査 → 該当を判断 → 助言・指導→勧告という段階を踏んで進みます。
引き金は認定そのものではなく「勧告」。勧告で住宅用地特例が外れ、翌年度から土地の固定資産税が最大約6倍に戻ります (出典:国土交通省 空家法関連情報・2026年9月時点)。
裏を返せば、助言・指導の段階で直せば止められるということ。状態を見る → 通知が来ていないか点検 → 直せるうちに改善(または売る・貸すを決める)—— これが認定と税の6倍化を避ける最短ルートです。個別の認定・手続きは必ず市区町村や専門家にご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務上の助言ではありません。 認定の可否や具体的な手続きは、必ず物件所在地の市区町村や専門家にご確認ください。